炎上発生時、まず何をすべきか?
2025年05月14日
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炎上の定義
総務省のホームページでは、「炎上」とは、「ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」状態であるとされています。具体的な投稿件数などの定義はなく、炎上状態であるのか、この状態に対応すべきかは各社が判断することになります。
炎上対応は初動が重要
炎上が発生しないのが理想ですが、不幸にも発生してしまった場合は、すべての危機管理対応と同様、初動が非常に重要です。炎上の発生に対する初動対応は、以下の流れに沿って行います。
1.炎上事案の事実関係の調査
2.事実の場合の起因と要因の調査
3.影響対象者の把握と対応策の協議
4.対応決定後の速やかな実行(広報対応を含む)
炎上が「事実無根(風評被害も含む)」の場合もあるため、まずは事実か否かの調査を速やかに行います。事実でない場合は「事実ではない」ことを迅速に公表することで、被害拡大を防ぐことができる可能性があります。
一方、事実であった場合は「対策の具体化」が重要です。自社起因の事案では、社内情報を基に「迅速に」かつ「丁寧に」調査することが求められます。事実が後から次々と出てくると対応が遅れ、会見でメディアから矛盾を指摘されがちです。
迅速な初動を妨げる要因
通常、社内のSNS関係部署が炎上の第一発見をするケースが多いですが、その後「他部署を含めた対策関係部署」が対応を協議する必要があります。しかしその際、関連部署の誰にどのように連絡を取り、どのように協議を進めるか、「初動の初動である情報連携」に時間をかけてしまうケースが多く見受けられます。これは「危機管理マニュアル」が社内になく、リスク発生時の対応が主幹部署任せになり、対応の不備や抜け漏れが生じるからです。
他によくある事例としては、最終判断者である社長への連絡が遅れ、事態が悪化することもあります。「たいしたことない」とリスクを過小評価したり、現場から社長に至るまでの階層が多く、途中の職位に連絡が取れなかったりする場合に発生しがちです。
また、炎上は突然発生するため、担当者がパニックになることで対応の遅れを招くケースもあります。
事案の検知から最大でも1時間以内に関係者に第一報が届き、関係者全員が状況を把握している状態が理想です。
危機管理マニュアル整備の重要性
迅速な初動対応のために、危機管理マニュアルを整備しておくことは非常に重要です。その理由としては以下の3点が挙げられます。
1.自社の潜在的リスクの把握(リスク俯瞰図の作成)
潜在的なリスクが「見える化」されることで、リスクに対する認識を社内で共有できます。そこから、発生時の「対応案」まで明確化することで、「発生時の迷い」を減らせます。
2.危機管理発生時の対応者/協議者のアサインと体制構築
事案発生時に慌てないために、関係者を事前にアサインしておくことが非常に重要です。ある企業では、役職者が責任を押し付け合い、対応が後手に回った例もあります。
3.対応方法の見える化
リスク俯瞰図を基にして、「こうなった場合にはこう対応する」と事前に決めておくことで、協議がスムーズに進みます。事前に決まっていないと、協議事項が増え、炎上が加速する中で後手に回るリスクが高まります。
まとめ
炎上対応を含めた危機管理は「時間との戦い」がすべてです。会見やメディアの記事で「対応が遅い」という批判を浴びるケースをよく目にしますが、「早く対応する」ことにデメリットはないため、危機管理マニュアルを作成し、迅速な対応ができる体制を整えておくことをお勧めします。
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