誹謗中傷

誹謗中傷とは?SNSでの事例やどこからが罪となるのか解説

2025年01月04日


「誹謗中傷の意味は?」や「どこからが誹謗中傷になるの?」と考えたことがある人は多いのではないでしょうか。
また「誹謗中傷と批判はどう違うの?」さらには「誹謗中傷の代表例はどんなもの?」と疑問に思ったことはありませんか?
インターネットが発展し、誰もがSNSを使う現代において誹謗中傷はとても身近な問題になっており、個人や企業を問わず誹謗中傷の被害者または加害者になる可能性がある時代です。
この記事では「誹謗中傷の意味」をはじめ、誹謗中傷の原因、誹謗中傷の代表例などについて簡単に解説します。

誹謗中傷とは

誹謗中傷の意味は、特定の人物(組織も含む)に対して、侮辱や嫌がらせ、デマ情報、嘘などを使って、相手の名誉や人格を傷つける一連の行為のことです。

誹謗中傷は特定の人に直接なされる場合もありますが、昨今ではインターネット上において、SNSやネット掲示板を使い、間接的に行われることが主流になっています。

誹謗中傷の被害を受ける対象は個人に限らず法人も含まれます。また、著名人や一般人も関係なく、誰でも被害を受ける可能性があります。また、悪意がなくとも誹謗中傷に該当する発言や投稿をしてしまうケースもあり、誹謗中傷はすべての人に起こり得る問題とされています。

事実、誹謗中傷が原因となり、ネット炎上が起きたり、訴訟に発展するケースもあるため、個人や法人を問わず正しい知識を持っていなければいけません。

とりわけ、X・インスタグラムなどSNSをはじめとするインターネットを利用する人や企業にとっては、誹謗中傷の意味を理解すると同時に、とても身近な問題であることを認識する必要性が求められています。

ちなみに、誹謗中傷は「誹謗」と「中傷」の異なる言葉を合わせたもので、誹謗と中傷には意味の違いがありますので、次で詳しく解説します。

 

 

 

【誹謗と中傷の違い】

誹謗中傷の意味を理解するうえで、誹謗と中傷の違いを知っておきましょう。

誹謗:相手の悪口を言うこと

中傷:根拠がないことで、相手の名誉を傷つけること

このように、誹謗は「相手の悪口」であるのに対し、中傷は「根拠がないことで相手を悪く言う」といった違いがあります。

具体的には、相手に対しブスやデブといった悪口を言うことは「誹謗」になり、事実ではないにもかかわらず、浮気している!や詐欺師だ!と言うことは「中傷」に当てはまります。

いずれにも共通していることが「相手の名誉を侵害すること」であり、法律上は名誉権の侵害に該当する可能性があります。

 

【誹謗中傷と批判の違い】

誹謗中傷の意味を知るうえでは、誹謗中傷と批判の違いについても理解しておかなければいけません。

誹謗中傷:相手の人格や外見に対する悪口、虚偽の発言をすること

批判:相手の行動や意見に対して、異なった意見を主張すること

誹謗中傷は「悪口や虚偽の発言」であるのに対して、批判は「異なる意見を主張する」といった違いがあります。

 

例えば、特定の人物の発言や行動に対して「その意見にはこのような問題がある」や「こうするべきだ」という内容の発言は、誹謗中傷ではなく批判に該当します。

このように、誹謗中傷と批判は紙一重のような違いがあるものの、誹謗中傷は「悪意の有無」や「虚偽の有無」といった点で区分されることがほとんどです。

一方で、悪意がない批判のつもりであっても、相手からすれば誹謗中傷と受け取られる可能性もあり、誹謗中傷と批判の明確な線引きは難しいとされています。

 

どこからが誹謗中傷に該当するのか

誹謗中傷の意味を理解する際に「どこからが誹謗中傷で、どこからが誹謗中傷ではないのか」という基準についても把握しておく必要があります。

どこからが誹謗中傷になるのかという点においては「根拠を伴わない悪口や文句、嘘、噂によって相手を傷つけた場合」ということが目安になります。

具体的には、以下のようなケースが誹謗中傷に該当する可能性があります。
SNS上に「Aさんは不倫をしている」という嘘の投稿をした

ネット掲示板に「Bさんは浮気を繰り返す最低な人だ」という悪口を投稿した
口コミサイト上に「C店の料理はいつもカビが混入しているので行かない方がいい」というデマを投稿した

いずれも、特定の人や店を対象にし「根拠がない嘘や悪口」であることが分かると思います。このようなケースは誹謗中傷に該当します。

対照的に、特定の人や団体を指していない場合や、虚偽ではない発言は誹謗中傷に当てはまりにくいとされています。

どこからが誹謗中傷に該当するかは、その線引きが難しいとされていますが「根拠がない悪口や文句によって相手を傷つけた」というポイントが争点になると考えてよいでしょう。

 

誹謗中傷に関係する主な犯罪

誹謗中傷は法律用語ではありませんが、一般的には以下の犯罪に該当するケースが多いとされています。

名誉毀損罪(刑法230条)
侮辱罪(刑法231条)
信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条)

 

特にインターネット上の書き込みで問題になるのは、名誉毀損罪と侮辱罪です。
両者の違いは、「事実を示して社会的評価を下げたかどうか」です。

・事実を示して評価を下げる → 名誉毀損罪
・事実を示さず悪口を言う → 侮辱罪

たとえば、SNSや掲示板などで不特定多数が閲覧できる状態で書き込みを行うと「公然性」が認められ、犯罪が成立する可能性があります。

誹謗中傷で逮捕されるのか

誹謗中傷で逮捕されないと思い込んでいる人は多いようですが、誹謗中傷が原因で逮捕されることは十分にあり得ます。

誹謗中傷で逮捕される確率は高くはないものの、事実として誹謗中傷を行った人物が逮捕される事件が起きていることから、誹謗中傷で逮捕されることもあると言えます。

昨今の誹謗中傷はインターネット上のSNSやネット掲示板などを中心にして行われていますが、その多くは匿名性が高いことが特徴で、発言や投稿した人が特定されにくいと思われがちです。

しかし、誹謗中傷を受けた人や組織が、不法行為に基づいて「発信者情報開示請求」をすると、インターネットサービスプロバイダーなどの協力を通じて、誹謗中傷を行った人物を特定することが可能になります。

この結果、匿名やハンドルネームで誹謗中傷した人物であっても、氏名や住所、メールアドレス、IPアドレス、SIMカード識別番号などといった「発信者情報」が特定され、加害者として特定されるのです。

加害者として特定されるということは、刑事罰の対象者(刑事上の責任を負う者)になることから、逮捕や起訴もあり得ます。

つまり、誹謗中傷をした人物はいずれ特定され、書類送検されたり、逮捕されたりするという訳です。

 

誹謗中傷で逮捕されるとどうなるのか

誹謗中傷で逮捕された加害者は、警察の取り調べを受けた後、検察への送検、勾留、起訴の流れを辿って、有罪か無罪かが確定します。

仮に、起訴されると被告人として刑事裁判で審理されます。日本の司法制度においては、起訴されるとほぼ間違いなく有罪判決を受けることになります。

有罪判決を受けると、刑事罰(罰金や拘留、科料等)を受け、加害者には前科がつきます。

対照的に、起訴されない「不起訴」処分や、警察の段階で事件処理を終わらせる「微罪処分」になると釈放されるため、加害者には前科や刑事罰はありません。(ただし、被疑者として捜査対象になった前歴がつく)

誹謗中傷による事件においては、抽象的な内容が多いため名誉毀損罪や侮辱罪などが成立しないことも多く、結果的に不起訴や微罪処分で決着することもあります。

警察によって逮捕される場合は「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」が必要です。「逮捕の理由」は、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由であり、「逮捕の必要性」は逃亡や証拠隠滅のおそれがないと言えない場合とされています。

このことから、誹謗中傷を行った人物に対し「逮捕の理由」が存在し、なおかつ「逮捕の必要性」があると判断されることではじめて、身柄を拘束する「逮捕」に至ります。

一方、誹謗中傷の加害者は「逮捕の必要性」がないと判断されることもあり、加害者(被疑者)が在宅のまま捜査される「在宅捜査」や、警察から検察へ書類のみを送致する「書類送検」といった、逮捕を伴わない手続きになることが多いとされています。

このようなことから、誹謗中傷を巡る事件については、逮捕よりも「起訴されるかどうか」が大きなポイントになると言えるでしょう。

 

誹謗中傷で逮捕に至らないケース

誹謗中傷で逮捕に至らないケースとして、主に以下のようなものが挙げられます。

  • ・当事者間の口論や喧嘩
  • ・犯罪が成立しない
  • ・可罰的違法性に該当しない

 

【当事者間の口論や喧嘩】

誹謗中傷で逮捕されないケースとして「当事者間の口論や喧嘩」があります。友人や恋人同志の口論や喧嘩は原則として「公然」ではないため、名誉毀損罪や侮辱罪が成立しません。

ただし、行き過ぎた発言については「脅迫罪」などが適用されることもあるため、当事者間であっても逮捕されないとは言い切れません。

 

【犯罪が成立しない】

誹謗中傷で逮捕されないケースとして「犯罪が成立しない」ことも挙げられます。例えば、名誉毀損罪や侮辱罪、さらには脅迫罪といったいずれの要件に満たない場合、逮捕されることはないでしょう。

犯罪が成立しない場合は、刑事上の責任ではなく「民事上の責任」として、誹謗中傷を行った人物に対して慰謝料を請求する手続きが取られます。

 

【可罰的違法性に該当しない】

誹謗中傷で逮捕されないケースには「可罰的違法性に該当しない」ということもあります。具体的には、違法行為であったとしても、警察が刑罰の必要なしと判断することです。

仮に、警察が誹謗中傷被害を深刻に受け止めなければ、被害者は泣き寝入りすることになります。

事実、某お笑いタレントが殺人事件に関与したという事実無根の誹謗中傷を10年にわたって受けていましたが、相談を受けた警察が9年間放置していた事案も起きています。

 

 

 

誹謗中傷による逮捕例

誹謗中傷により加害者が逮捕された実例を紹介します。

 

【男子高校生自殺事件】

2017年、当時高校3年生だった男子生徒が誹謗中傷を理由に自殺し、誹謗中傷を繰り返していた19歳の少年が名誉毀損罪で逮捕されています。

逮捕された少年は自殺した男子生徒に対し「様々な女性に迷惑行為をしている」や「逃げ惑っている」などと誹謗中傷を繰り返し、これに耐えられなくなった男子生徒は警察に相談した翌日に自殺しました。

警察は誹謗中傷が多数回にわたって続いていたことや、被害者が自殺したことを重くうけとめ、逮捕に至ったとされています。

 

【女性研修医による誹謗中傷ビラ事件】

2017年、大阪市内のトイレに知人男性を誹謗中傷するビラを貼ったとして、20代女性研修医が逮捕されました。

逮捕された女性は知人男性の実名入りで「最低最悪の人間です。存在価値がありません。」と書いたビラを貼っていました。

被害を受けた男性が被害届を提出し、警察による捜査の結果、女性は名誉毀損罪で逮捕されています。

この一件は、誹謗中傷行為はインターネット上だけでなく、ビラなどによっても十分に逮捕される可能性があることを示した事例として知られています。

 

【アニメ監督殺害予告事件】

2020年、人気アニメ監督に対しネット掲示板上で殺害予告した20代男性が逮捕されています。ナイフで殺害するといった具体的な投稿以外にも、声優や製作者らも名指しして脅迫していたことが分かっています。

これにより、被害者らが身の危険を感じる結果になったことや、アニメ制作の作業が中断してしまったことが逮捕に至った要因と考えられています。

 

発信者情報開示請求・開示命令とは

ネット上の誹謗中傷は、多くの場合「匿名」で投稿されています。
そのため被害者は、まず投稿者を特定する必要があります。

このときに利用されるのが 発信者情報開示請求です。

発信者情報開示請求とは、SNS運営会社やインターネットプロバイダに対し、投稿者の情報(IPアドレスや氏名・住所など)を開示するよう求める法的手続きです。

通常、次のような情報が開示対象になります。

  • ・IPアドレス
  • ・タイムスタンプ(投稿日時)
  • ・契約者の氏名
  • ・住所
  • ・メールアドレスなど

 

近年は制度改正により、裁判所が一括して開示を命じる 「発信者情報開示命令」という制度も導入されています。
これにより、従来は複数の裁判手続きが必要だった開示手続きが、より迅速に進められるようになりました。

 

開示請求は誰に依頼すればよいか

発信者情報開示請求は、理論上は本人でも行うことが可能です。
しかし実務上は次の理由から 弁護士に依頼するケースが一般的です。

理由としては以下が挙げられます。

  • ・裁判手続きが必要になることが多い
  • ・投稿内容が違法かどうかの判断が必要
  • ・プロバイダとの法的やり取りが発生する

 

そのため、実務では以下の専門家に依頼するケースがほとんどです。

  • ・インターネット問題を扱う弁護士
  • ・誹謗中傷対策に強い法律事務所

 

なお、開示請求の代理人として裁判手続きを行えるのは基本的に弁護士のみです。
削除代行業者などは存在しますが、開示請求の代理を業務として行うことは法律上できません。

 

開示請求にかかる費用の目安

発信者情報開示請求には、一般的に弁護士費用が発生します。

一般的な費用相場は、投稿者特定までの平均費用が約30万〜70万円程度になります。

金額に幅があるのか、サイト運営者と通信プロバイダの 2段階の開示手続きが必要になるケースが多いためです。

費用の内訳には次のようなものがあります。

  • ・弁護士の着手金
  • ・成功報酬・裁判所の印紙代
  • ・郵送費
  • ・担保金(仮処分手続きの場合)

 

個人で手続きを行う場合は、10万〜30万円程度で済むケースもありますが、専門知識が必要なため実務では弁護士依頼が多いとされています。

 

開示請求の一般的な手順(依頼者と弁護士の流れ)

ネット誹謗中傷の開示請求は、概ね次の流れで進みます。

①被害者(依頼者)

  • ・誹謗中傷投稿を保存(スクリーンショットなど)
  • ・弁護士に相談
  • ・投稿内容が違法かどうかを判断
  • ・開示請求を依頼

②弁護士側の手続き

  • ・サイト運営者に発信者情報の開示請求
  • ・IPアドレスの取得
  • ・通信プロバイダへ契約者情報の開示請求
  • ・投稿者の氏名・住所の特定

従来はこの過程で 複数の裁判手続きが必要でしたが、
現在は「発信者情報開示命令」により手続きが簡略化されるケースもあります。

 

開示請求後の行動

投稿者が特定された後、被害者が取る行動は主に次の3つです。

①損害賠償請求(慰謝料請求)
もっとも一般的な対応です。

②刑事告訴
名誉毀損罪・侮辱罪などで告訴するケース。

③示談交渉
裁判前に和解するケース。

 

多くの場合は 慰謝料請求による民事訴訟または示談交渉になります。

 

誹謗中傷の慰謝料の相場

ネット誹謗中傷による慰謝料は、事案によって大きく変わりますが、一般的な相場は次のとおりです。

ケース 慰謝料の目安

  • ・軽度の悪口・侮辱 :10万〜50万円
  • ・名誉毀損(事実摘示): 50万〜100万円
  • ・悪質・拡散が大きい場合: 100万〜300万円以上

影響が大きい場合や企業・芸能人などの場合は、数百万円規模になるケースもあります。

 

ネット上での誹謗中傷が及ぼす企業への影響

インターネットの普及は多くの利点をもたらしましたが、その反面、企業への誹謗中傷の拡散が容易になるという問題も生じています。その影響は様々で、以下のような点が挙げられます。

 

ブランドイメージの損傷

誹謗中傷が広まると、企業のブランドイメージは大きく損なわれます。イメージ回復には時間と費用がかかるため、この影響は深刻です。

 

売上減少

ネガティブな口コミは消費者の購買意欲を落とし、結果的に売上に影響を与える可能性があります。特に、ネットで商品調査を行う消費者が増えている現在、この影響は無視できません。

 

採用活動への影響

企業の評判が悪化すると、求職者の間で敬遠され、採用活動が難航する可能性があります。優秀な人材の獲得が阻害されることは、企業の長期的な発展に影響を及ぼします。

 

投資家の信頼損失

誹謗中傷が拡散されると、投資家からの信頼を失う恐れもあります。その結果、資金調達が困難になるという直接的な財務上の影響を受ける可能性があります。これらの影響を踏まえると、企業が誹謗中傷に対して適切な対策を講じることの重要性は明らかです。

 

ネット上の誹謗中傷に対する具体的な対策

誹謗中傷と対峙する企業にとって、その問題に取り組むための具体的な対策が求められます。以下に、可能な対策をいくつか紹介します。

 

オンラインレピュテーションマネジメント (ORM)

オンラインレピュテーションマネジメント(ORM)は、インターネット上で企業に対する肯定的な評価を増やし、ネガティブな評価を管理する一連のプロセスを指します。

具体的には、顧客からのレビューやフィードバックに対する迅速かつ適切な対応、SEOを活用した肯定的なコンテンツの強化などが含まれます。

 

法的対策

誹謗中傷は違法行為であるため、法的手段を用いることも一つの対策です。しかし、法的手段は証拠の確保や手続きに時間と費用がかかるため、全ての事例で適切な対策とは限らない点に注意が必要です。

 

ソーシャルメディアの監視と対応

ソーシャルメディアでの誹謗中傷に対しては、企業自体がアクティブになることが求められます。誹謗中傷の初期発見と早期対応により、その拡散を防ぐことが可能です。

 

誹謗中傷への教育と予防

企業の従業員自身が誹謗中傷の発生源となることを防ぐために、誹謗中傷や社内外での適切なコミュニケーションについての教育も重要です。これらの対策は、誹謗中傷の影響を最小限に抑え、企業の評判を保護するための重要なステップです。しかし、それぞれの対策にはそれぞれの課題と限界があります。

 

誹謗中傷対策の限界と課題

誹謗中傷への対策は企業にとって必須ですが、それらの対策には限界と課題が存在します。以下に、その主な点を挙げてみます。

 

証拠の確保と特定

誹謗中傷の投稿者を特定し、適切な法的手段を講じるためには、証拠の確保が必要です。しかし、匿名性が高いインターネット上では、投稿者の特定や証拠の収集は困難であり、時間と費用がかかる場合が多いです。

 

誹謗中傷の速度と広がり

インターネット上での情報の拡散速度は非常に速く、誹謗中傷が一度拡散されると、それを完全に取り消すのは困難です。これは、特にソーシャルメディアを通じた誹謗中傷に対する対策の限界となります。

 

投稿内容の判断

どのような発言が誹謗中傷に当たるかの判断は、時には難しい問題となります。消費者の不満や批判は、企業にとって価値あるフィードバックであり、それらを誹謗中傷と一概に判断し、排除することは、公正な評価システムを阻害する恐れもあります。

 

従業員の教育と監督

従業員の誹謗中傷に対する教育は重要ですが、全ての従業員が常に適切な対応をするとは限らないため、監督と指導が必要です。また、教育プログラムの設計と実施は、リソースと労力を必要とします。これらの課題は誹謗中傷対策の難しさを示していますが、企業としてはこれらの課題を理解し、最善の対策を講じることが求められます。

 

日本の企業が直面している誹謗中傷対策の状況

インターネット上の誹謗中傷に対する対策は、国や地域によって大きく異なります。日本の企業が直面している誹謗中傷対策の状況を詳しく見ていきましょう。

 

法的手段の活用

日本では、誹謗中傷に対する法的対策が一部の企業で活用されています。しかし、投稿者の特定や証拠収集の困難さから、全ての誹謗中傷に対して法的手段を用いることは難しいという課題があります。

 

企業の対策策定状況

一部の大企業では誹謗中傷対策のためのガイドラインや教育が実施されていますが、中小企業ではまだ十分な対策がとられていないケースが多いです。特に、予算や人員の制約から、適切な対策が取られていない場合があります。

 

インターネットホットラインセンターの活用

日本では、インターネットホットラインセンターが不適切な情報の通報や削除要請を行っています。これは企業にとって有用なサービスですが、誹謗中傷の定義や削除基準など、一部問題点も指摘されています。

 

情報漏洩のリスク管理

企業にとって、誹謗中傷だけでなく情報漏洩も大きなリスクとなります。従業員の教育や内部統制の強化により、これらのリスクを管理することが求められます。これらの状況から、日本の企業における誹謗中傷対策は、法的手段や教育、内部統制などの複数のアプローチが必要であり、それぞれの企業が自身の状況に合った対策を講じることが求められます。

 

社会全体での取り組みと法制度の役割

企業の自主的な対策は必要ですが、それだけでなく、社会全体での取り組みや法制度の役割も重要な要素となります。特に、インターネット誹謗中傷問題は個々の人々のモラルや倫理観が深く関わるため、教育や啓発活動が求められます。さらには、企業が被害を受けた場合の対応策として法制度の充実が必要となります。

まず、教育と啓発活動については、子供や若者から大人まで、あらゆる世代でのデジタルリテラシーの向上が必要です。インターネットを通じたコミュニケーションが増える現代社会において、誹謗中傷行為の社会的影響や個々の人々に及ぼす深刻なダメージを理解することは不可欠です。
次に、法制度の役割ですが、誹謗中傷による被害を防ぐため、適切な法的対応が重要です。具体的には、企業が被害を受けた場合に、効果的に対応できるように法的枠組みを整備することが求められます。しかし、法制度の整備だけではなく、適用の現場での具体的な運用方法や対応策の構築も必要となります。

これらの取り組みを進めることによって、企業だけでなく、社会全体がインターネット誹謗中傷問題に立ち向かうことが可能となります。

 

今後の展望

インターネットの普及により、企業への誹謗中傷はこれまで以上に深刻な問題となっています。しかし、前述した対策や社会全体での取り組み、法制度の整備を進めることにより、この問題に対処する道筋は見えてきています。

先ず、企業自身が誹謗中傷に対するリスク管理体制を強化し、社内教育を行うことで自社のイメージを守り、顧客との信頼関係を維持する努力が続けられることでしょう。また、社会全体での教育と啓発活動は、個々の人々のデジタルリテラシー向上と共に、誹謗中傷の社会的な影響を理解することを促すでしょう。これにより、誹謗中傷行為自体が減少する可能性があります。

しかし、これらの取り組みは時間と労力を必要とします。そして、インターネットの技術や利用状況の変化に対応し続ける柔軟性も必要となります。企業だけでなく、社会全体がこの課題に対して協力し、取り組んでいくことが求められます。

 

まとめ

ネット上での誹謗中傷は、企業の評判を大きく損なうリスクをはらんでおり、対策の重要性が高まっています。この問題に対処するためには、企業自身のリスク管理と対策、社会全体の教育・啓発活動、そして適切な法制度の整備と活用が必要です。

企業は、誹謗中傷に対するリスク管理を強化し、社内教育を行うことで自社のイメージを守り、顧客との信頼関係を維持しようとする動きが見られます。社会全体での教育・啓発活動により、デジタルリテラシーの向上と誹謗中傷の社会的影響の理解が進むことで、誹謗中傷行為そのものが減少する可能性も見据えられます。また、法制度の整備とその適用方法の検討が進むことで、企業が被害を受けた場合の法的対応がスムーズになることが期待されています。

これらの取り組みは企業単独ではなく、社会全体での協力が必要であり、時間と労力を必要としますが、その努力を通じて企業と社会全体が誹謗中傷問題を乗り越えていく道筋が見えてくるはずです。

 

 

 

 

この記事は、SNSリスクモニタリングサービスなどリスク対策サービスを25年以上支援しているリリーフサインで、数多くの企業広報・危機管理対応の経験を持つ、企業広報コンサルタントが執筆しています。

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