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コンプライアンス研修のネタ・テーマ7選|違反や炎上を防ぐポイントとは

2025年06月30日


コンプライアンス研修は、従業員一人ひとりの倫理観や責任意識を高め、企業としての社会的信頼を守るために欠かせない取り組みです。近年は、SNSの誤投稿や情報漏えいといったコンプライアンス違反によって企業の信頼が揺らぎ、存続自体が危ぶまれる事例もあります。

本記事では、コンプライアンス研修で扱うべき具体的なテーマやネタの探し方、研修効果を高める工夫について詳しく解説します。

コンプライアンス研修のネタ・テーマ7選

2024年にコンプライアンス違反を原因とした企業の倒産は、388件にものぼっています(※)。こうしたリスクを未然に防ぐには、自社の業種や現状に即した適切な研修テーマを選定することが重要です。

※参考:帝国データバンク.「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2024年)」.https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250124-compliance2024/ ,(参照2025-06-24).

ハラスメント対策

ハラスメント対策は、企業全体のリテラシー向上と認識の共通化を目的とした重要な研修テーマです。特に企業規模を問わず義務化された「パワーハラスメント防止措置」を機に、啓発に力を入れている企業もいるでしょう。

研修では、パワハラ・セクハラ・マタハラなどの種類や具体例を紹介し、「何がハラスメントになるのか」という判断基準を共有します。また、被害を受けた際の対処法や相談窓口の活用方法についても説明します。価値観の多様化が進む中、意図せず相手を傷つけてしまうことが少なくなれば、従業員が安心して働ける職場づくりの一助となるでしょう。

 

情報セキュリティ

情報セキュリティも、企業機密や顧客情報を守る上で欠かせないテーマです。特にテレワークの普及によりニューノーマルな働き方が広がる一方で、情報漏えいのリスクが高まっているのが現状です。そこでコンプライアンス研修を通して、PC・USBの紛失やマルウェア感染といったリスクを正しく理解し、適切な行動が取れるようになることが求められています。

研修ではテレワーク時に注意するべきポイントや社内で定められているセキュリティルールを再確認し、徹底を促します。併せて、過去に起きた情報流出事件の事例を紹介し、リスクを具体的にイメージできるとより効果的です。

社員一人ひとりが情報管理の重要性を理解して常に意識・行動することが、企業全体のセキュリティレベルを高める鍵となります。

 

SNSリテラシー

SNSリテラシーの向上は、企業ブランドを守る上で欠かせないテーマです。従業員による不適切な投稿がSNSで炎上を引き起こし、企業のイメージや信頼を大きく損なうケースも少なくありません。

研修では、社会人としてのSNS利用の基本や社内のSNSガイドラインの内容・ルールの背景を共有します。実際にあった炎上の事例や企業が被った悪影響についても取り上げると、より理解を深められるでしょう。例えば、ある飲食店でアルバイトが食材を使った悪ふざけ動画をSNSに投稿し、メディアでも広く報じられ炎上に発展した事例などがあります。

コンプライアンス研修を通じて、「一つの投稿が企業全体に与える影響範囲の広さ」を実感してもらうことが大切です。

 

社内通報制度

社内通報制度の周知と活用促進は、不正リスクの早期発見と抑止につながります。制度を整備するだけでなく、実際に機能させるための正しい理解と徹底をコンプライアンス研修で行いましょう。

研修では「不正や違法行為を見つけたときにどう行動するべきか」という判断力を養うとともに、通報制度の仕組みやフローを具体的に紹介します。さらに、通報が企業を守る行動であることや、通報者の保護や匿名性の確保など利用環境が整っていることを伝えます。従業員一人ひとりが制度を自分ごととして認識することが、活用の第一歩となります。

 

法律・倫理

ビジネスパーソンとして働く上で、基本的な法令知識や倫理観を身に付けることも不可欠です。コンプライアンス研修では、社内ルールや法令の目的を再認識し、違反につながりやすい行動の具体例を解説しましょう。

例えば、自社の就業規則や企業理念などの社内ルール、個人情報保護法やインサイダー取引、下請法、フリーランス・事業者間取引適正化等法 などがあります。業種や職種に応じた法令の基礎知識を学ぶことで、日常業務におけるコンプライアンス意識が高まり、不正の芽を未然に摘む体制を整えられます。

 

景品表示法・薬機法

広告や表示に携わる部署には、景品表示法・薬機法といったネタ・テーマも有効です。誤った表現や過大な広告は行政指導の対象となり、企業の信用低下や法的トラブルを招くリスクがあります。

研修では、両法の目的や仕組み、違反に該当する表示の具体例を解説します。景品表示法はチラシやパンフレット、ダイレクトメールなどが対象になるため、業務範囲によっては全社で実施しても良いでしょう。薬機法も美容・健康関連の商材を扱う企業では、全従業員が知っておきたい知識です。

「知らなかった」では済まされないリスクを理解し、表現を慎重にチェックする姿勢を養うことが、企業全体のリスク管理に寄与します。

 

著作権・意匠権・商標権

知的財産に関する理解は、商品開発やマーケティング、広報など多くの部門で求められます。著作権・意匠権・商標権について正しく把握することで、権利侵害によるトラブルを未然に防ぐことが可能です。

研修では、それぞれの権利の違いや具体的な適用範囲を明確にし、どのような行為が侵害に当たるのかを具体的な事例とともに解説します。また、侵害が発覚した際に企業が受ける損害や社会的信用の低下についても触れ、影響の大きさを受講者に認識させることが重要です。

 

研修のネタやテーマ、具体例の探し方

コンプライアンス研修で取り上げるネタやテーマに迷った際は、以下の情報をチェックするのがおすすめです。

● 省庁や関連団体が公開している違反事例
● 同業他社・有名企業の不祥事
● 新聞やSNSで話題になった事例など

 

直近で起きた出来事や大きな話題になった事例を選ぶと、受講者の関心を引きやすくなります。自社の業務との親和性が高い内容を取り上げたい場合は、専門家に相談して最新の動向や業界特有のリスクを踏まえてテーマを検討するのも有効です。

 

研修を実施してもコンプライアンス違反が起きてしまう理由

多くの企業でコンプライアンス研修が実施されていますが、それでも違反が後を絶たない現実があります。その一因が、研修の内容が実態と合っていないケースです。従業員の理解度を確認せず同じ内容を繰り返すだけでは、十分な効果が得られないこともあります。研修の内容を見直したり外部委託したりして、現場に即した調整を行いましょう。

また、企業文化の影響も大きな要因です。上層部の不正行為を見て見ぬふりする風潮や、部下が上司に意見しにくい雰囲気が根付いていると、どれだけ研修を重ねても違反を抑止するのは難しくなります。研修と並行して、企業風土の改善にも取り組むことが重要です。

 

コンプライアンス違反やネット炎上を防ぐポイント

コンプライアンス違反を未然に防ぐには、単なる知識の共有にとどまらず、従業員一人ひとりの意識と行動を変える取り組みが必要です。ここでは、組織全体のコンプライアンス体制を強化し、違反や炎上を防ぐための具体的なポイントをご紹介します。

 

研修後にアンケートやテストを実施する

コンプライアンス研修は受けて終わりではなく、従業員が内容をしっかり理解して、実際の業務で適切に行動できるかを確認することも欠かせません。そのため、研修後にはアンケートやテストを実施し、理解度を可視化する仕組みを設けましょう。内容の理解が不十分な項目や、誤解が生じている部分を把握することで、次回以降の研修の改善にもつながります。

また、従業員自身が研修内容を振り返る機会を設けることで、言動を見直すきっかけにもなり、継続的なコンプライアンス意識の向上が図れます。

 

eラーニングも取り入れる

コンプライアンス研修は、正社員だけでなくパートやアルバイトも対象となるため、受講のしやすさも大切です。eラーニングであれば、場所や時間にとらわれず視聴できるため、無理なく受講できる環境を整えられます。

また学習進捗の管理がしやすく、教育の質を均一化できる点もメリットです。通常の集合研修と反復学習が可能なeラーニングを併用することで、理解の定着やリスク感度の向上が期待できます。

 

当事者意識を持てる工夫をする

コンプライアンス違反や炎上を防ぐには、「自分には関係ない」という受け身の姿勢を改め、リスクを自分ごととして捉えてもらう必要があります。そのためには、従業員が当事者意識を持てるような工夫が求められます。
例えば、ロールプレイングで具体的な対応を体験したり、疑似炎上を再現した動画教材を用いたりすることで、現実感を持たせることが可能です。またケーススタディを通じて、他者との感覚の違いや倫理観のズレを認識することも、意識の変化につながります。

 

コンプライアンス違反の影響度を理解させる

違反行為の深刻さを従業員に理解してもらうには、具体的な事例とその影響を示すことが効果的です。

例えば、大手物流企業が運転手へ不適切な点呼を行っていたことが発覚したケースでは、一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す処分が下されました。軽貨物車についても再発防止の徹底を求める「安全確保命令」が出ています。その後の調査で全国の75%に相当する営業所で点呼業務の不備が確認されたことから、企業体質に疑問を呈する声や批判が相次ぎました。また、一般貨物の約58%を別会社に委託することとなり、経済的な損失も避けられない見通しです。

 

このようにコンプライアンス違反が発覚すると、経営に深刻なダメージを与える可能性があります。研修では、こうしたリスクが現実に起こり得るものであることを具体的に伝え、従業員一人ひとりの危機意識を高めることが重要です。

 

まとめ

コンプライアンス研修は、従業員の意識改革と企業リスクの最小化に欠かせない取り組みです。テーマやネタに迷ったら、本記事を参考に企業や部署に適した内容を選定してみてください。研修での学びを業務に生かせるような工夫を加えることで、当事者意識やリスク感度の向上につながります。