炎上騒動・ステマ関連

デジタルリスクによる炎上対策やマネジメントを解説

2023年03月28日

読了時間目安: 7分


昨今、多くの企業にとってデジタルリスクによる炎上対策やデジタルリスクマネジメントは不可欠な要素とされています。企業のリスク管理担当者は、様々なデジタルリスクの種類と原因、そしてデジタルリスクマネジメントの方法についてしっかりと把握しておくことが求められます。そこで、この記事では炎上対策として知っておきたいデジタルリスクについて初心者にもわかりやすく解説します。

デジタルリスクとは

デジタルリスクとは、インターネットを介して起こる様々なビジネスリスクのことです。具体的には、セキュリティリスクや情報漏洩リスクなどが挙げられますが、従業員やアルバイトによるSNSへの不適切な投稿によって企業が社会的な信頼を失ったり、経済的な損害を被ったりすることなども含まれ、その種類は多岐にわたります。 とりわけ、近年では「DX(デジタルトランスフォーメーション)の失敗」により、企業としての生産性低下や機会損失、不用意な設備投資といった影響が生じることも少なくありません。 このように、デジタルリスクは企業にとって非常に身近な問題であり、なおかつ回復には時間や労力もかかることから、未然に防ぐためのデジタルリスクマネジメントが重要とされています。

デジタルリスクの主な種類

主なデジタルリスクの種類は以下のとおりです。
  • ・セキュリティリスク
  • ・情報漏洩リスク
  • ・SNS投稿リスク
  • ・DX化失敗リスク
上記についてそれぞれ詳しく解説します。

セキュリティリスク

代表的なデジタルリスクとされているのが「セキュリティリスク」です。例えば、自社のシステムが外部からのサイバー攻撃に耐えられるほどのセキュリティ対策が実装できていなかったり、顧客情報などを外部ベンダーのクラウドサービスに保管したりすることで生じやすくなります。 セキュリティ対策が不十分だと、企業秘密や顧客情報の漏洩のみならず、日常的なサービスの提供や、業務そのものに支障が生じる可能性があります。 近年では「身代金要求型ウイルス」などが深刻化してきていることから、セキュリティリスクは多くの企業にとって対策が欠かせないデジタルリスクのひとつと言えるでしょう。

情報漏洩リスク

デジタルリスクの種類として「情報漏洩リスク」も挙げられます。情報漏洩リスクは、企業が持つ様々なデータが外部へ漏洩することを指しており、顧客情報に限らず製品情報や社内人事、さらには採用情報などその種類は多岐にわたります。 企業規模が大きいほど情報にアクセスする人や場所が増えることから、社内で情報を共有することそのものにリスクが伴うと言えます。 情報漏洩リスクはサイバー攻撃以外にも、従業員がセキュリティ対策が不十分な私的なパソコンを使うことで生じることもあり、テレワークを導入している企業にとっては特に身近なデジタルリスクのひとつです。

SNS投稿リスク

「SNS投稿リスク」も企業にとって対策が必要なデジタルリスクのひとつです。ツイッターやインスタグラムなどのSNS上に不適切な発言や内容が投稿されることで生じる可能性があります。 企業が保有する公式アカウントに限らず、従業員やアルバイト、さらには関連企業の投稿によって炎上することもあり、企業イメージの低下や不買運動などに発展する危険を含んでいます。 ひとたび炎上してしまうと事態を収拾することは難しく、従業員や関連する人が多い大企業ほど炎上対策が欠かせないと言えるでしょう。

DX化失敗リスク

デジタルリスクには「DX化失敗リスク」もあります。DXとはデジタルトランスフォーメーション(DigitalTransformation)の略語です。 具体的には、AIやIoTといったデジタル技術を用いて製品やサービス、さらには業務工程などを変革し、競合他社よりも優位性を確立することが目的とされています。 一方、十分なIT知識が伴わなければかえって作業量が増加したり、非効率的な業務を招いたりすることもあり、企業にとって生産性やサービス品質の低下といったリスクを伴います。

デジタルリスクが起こる原因と背景

デジタルリスクが起こる原因と背景として以下のことが挙げられます。
  • ・情報管理の変化
  • ・情報流出機会の増加
  • ・情報の拡散および削除不可の構造
上記それぞれについて解説します。

情報管理の変化

デジタルリスクが起こる原因として「情報管理の変化」があります。これまで主に紙で管理されてきた企業のあらゆる情報がパソコンやインターネット上のクラウドで管理されるように変化しました。 社内共有の利便性が向上し、時間や場所を問わず情報にアクセスできるようになった一方で、情報漏洩や情報の改ざん、不正利用などが起こりやすくなったと言えます。 このような背景から、あらゆる情報の取り扱いにおいてデジタルリスクが生じる可能性が高まっています

情報流出機会の増加

デジタルリスクが起こる原因には「情報流出機会の増加」も挙げられます。先述した「情報管理の変化」によって、本来であれば外部に漏れてはいけない情報さえも、インターネット上に保管されるようになりました。 これにより、外部からのサイバー攻撃や、不正アクセス、さらにはデータ誤送信などが起きる可能性が増えたと言えます。 また、従業員の家族が社内の人事情報をSNSに投稿したことで情報漏洩が生じたケースもあり、企業の情報はいつ、どこから漏洩するか分からないほど身近なリスクになっています。

情報の拡散および削除不可の構造

デジタルリスクが生じる原因として「情報の拡散および削除不可の構造」も忘れてはいけません。 インターネット上に企業の機密情報や悪評が掲載されると、真贋を問わずSNSやまとめサイトなどを通して瞬く間に拡散される可能性があります。 また、これらの情報は「デジタルタトゥー」としてインターネット上から削除できないほどに発展することもあります。このようなインターネットの構造上、影響が長期化するリスクがあることに留意する必要があります。

デジタルリスクが企業に与える影響

デジタルリスクが企業に与える影響として以下が挙げられます。
  • ・社会的な信用失墜
  • ・金銭的な損失
  • ・ビジネス機会の損失

社会的な信用失墜

デジタルリスクは企業に対して「社会的な信用失墜」という影響を与える可能性があります。例えば、顧客情報が漏洩した場合、顧客からの信用を失い、結果として売上減少という事態を招く可能性があります。 また、不用意なSNS投稿によって企業イメージが低下したり、DX化の失敗により製品やサービスの品質低下が起きたりすることも、社会的信用の低下につながります。 一度失った社会的信用を回復するには時間を要することから、デジタルリスクによって中長期的な被害を招く恐れがあります。

金銭的な損失

デジタルリスクによって「金銭的な損失」が生じる可能性があります。具体的には、情報漏洩により訴訟を起こされ損害賠償請求に応じる必要が生じたり、消費者の不買運動や買い控えが起こることで売上減少が生じるかもしれません。 他にも、謝罪広告の掲載など、信頼回復のためにコストの増加が必要となる場合もあり、企業経営を圧迫する可能性も否定できません。

ビジネス機会の損失

デジタルリスクによって「ビジネス機会の損失」が生じるかもしれません。例えば、情報漏洩により取引先からの信頼を失った結果、新規または継続受注が得られなくなる可能性があります。 また、企業イメージの低下により、優秀な人材獲得困難になったり、既存社員の流出が起きる可能性もあります。 とりわけ、人材の獲得や流出はビジネス機会に直結しやすく、企業経営に大きな影響を及ぼしかねません。

デジタルリスクによる炎上対策とマネジメント方法

デジタルリスクによる炎上対策とマネジメント方法として、以下の実施が効果的です。
  • ・社内規定の設置
  • ・最新セキュリティ対策の実施と維持
  • ・従業員の教育と社内規定の周知
  • ・迅速な対応

社内規定の設置

デジタルリスクマネジメントで最も基本的な対策と言えるのが「社内規定の設置」です。具体的には、SNS投稿や社内情報の取り扱いについて明確な規定を設置し、周知することが該当します。 情報へアクセスできる権限者を限定したり、SNS投稿内容のチェック体制の構築、さらには炎上が起きた場合の対応マニュアルを用意したりすることも、この対策に含まれます。

最新セキュリティ対策の実施と維持

デジタルリスクマネジメントには「最新セキュリティ対策の実施と維持」も挙げられます。システムやイントラネット、クラウドのセキュリティ対策を常に最新の状態に維持し、異常を速やかに検知する体制を整えておくことが重要です。 企業の場合、セキュリティ対策は外部委託することが主流ですが、委託企業に対するセキュリティチェックも忘れてはいけません。

従業員の教育と社内規定の周知

デジタルリスクマネジメントでは「従業員の教育と社内規定の周知」も欠かせません。とりわけ、デジタルリスクに関する知識や備えが不十分な新入社員やアルバイト従業員に対しては教育を徹底する必要があるでしょう。 また、先述した「社内既定の設置」を実施した後、「社内既定の周知」を実施することが重要です。デジタルリスクに関する勉強会を開催し、デジタルリスクの実例を共有する機会を設けることも有効です。

迅速な対応

デジタルリスクマネジメントとして「迅速な対応」も求められます。ネット炎上が起きた場合や、情報漏洩が発覚した際に、社内で速やかに対処できるよう、対応マニュアルを整備するとともに、対応する担当者や責任者を決めておくことが大切です。マニュアルには、情報発信の手段と手順、問い合わせ対応時のQ&Aフォーマットなどを定めておきましょう。デジタルリスクが社会問題にまで発展するケースもあるため、記者会見や謝罪広告掲載の実施方法などもあらかじめ確認しておくことも有効です。

まとめ

デジタルリスクは企業にとって業務上避けて通れない問題と言えます。また、デジタルリスクには様々な種類や原因があり、企業が問題を認識した時点で既に社会問題化している可能性も否定できません。 そのため、デジタルリスクは「未然に防ぐ」ことが最も重要です。この記事を参考にしてデジタルリスクマネジメントや炎上対策に取り組むことをおすすめします。