企業SNSが誤爆したらどうなる?恐怖の事例とSNS誤爆対策

2023年07月03日

読了時間目安: 6分


日々、我々の生活とビジネスに深く浸透している企業のSNS。その一方で、情報の誤送信、いわゆる"誤爆"が増加していることは、皆様もご存知のことでしょう。
誤った投稿が公開されれば、その影響は企業の評判を損なうだけでなく、時には法的な問題まで引き起こす可能性があります。
本記事では、恐怖の誤爆事例を振り返りつつ、そのような事態を未然に防ぐための対策について考察します。

企業SNSの誤爆とは何か?

企業のSNS誤爆とは、企業がSNSで行う公式の投稿や通信が、意図しない形で公開される現象のことを指します。これは様々な形で起こる可能性があります。例えば、誤った情報を投稿したり、内部限定の情報を外部に公開したり、感情的な言葉遣いや不適切な内容が含まれる投稿をしたり、といった形です。主な原因は、人的ミスやシステムの不具合、あるいは内部統制の不足など多岐に渡ります。しかし、いずれのケースも、企業のブランドイメージ、顧客の信頼、さらには法的な問題を引き起こす可能性があります。たとえば、企業内部の重要な情報が誤って一般に公開されると、その情報によって企業の競争力が損なわれたり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、不適切な言葉遣いや誤った情報の投稿は、企業の評判を大きく落とす可能性があります。顧客情報を誤って公開すると、プライバシー侵害に関する法律違反になり得ます。企業のSNS誤爆は、このような様々なリスクを孕んでおり、これらのリスクを避けるためには、適切なSNS運用ポリシーやシステム、そして教育が必要となります。

企業SNS誤爆の恐怖事例

企業のSNS誤爆が引き起こす悲劇は、単なる恥ずかしさや微小な誤解を超えたものであることは明らかです。大規模な顧客情報漏洩からブランドイメージの大幅な損失、さらには法的問題まで、その結果は組織にとって深刻な影響を及ぼします。以下、日本の企業がSNSで誤爆した際に起こり得る具体的な事例をいくつか挙げてみました。

大規模な顧客情報漏洩

事例1:ある不動産企業では、新規物件の情報をSNSで公開するつもりが、顧客データベースのスクリーンショットを誤って投稿してしまった。顧客の名前、連絡先、取引情報が一時的に公開され、顧客のプライバシーが侵害される事態となった。
事例2:メジャーな通信会社では、顧客サービスに関する内部討議の内容をSNSに投稿するミスが発生。顧客の名前や問い合わせ内容など、機密性の高い情報が一般に公開されてしまった。

ブランドイメージの大幅な損失

事例1:ある化粧品ブランドのSNSアカウントが、社員の個人的な見解を反映した政治的なコメントを投稿。その結果、ブランドに対する顧客の信頼が一時的に大きく損なわれ、製品の売上にも影響が出た。
事例2:大手レストランチェーンでは、未発表の新メニューに関する否定的な内部評価が誤ってSNSに投稿され、消費者の間で大きな混乱と不信感を引き起こした。

法的問題となった誤爆

事例1:ある医療関連企業が、未承認の製品に関する過剰なクレームをSNSで投稿。その結果、広告基準法に抵触し、法的な問題に発展した。
事例2:大手自動車メーカーでは、まだ公表されていない四半期の財務結果が誤ってSNSに投稿され、公開市場における情報公開のルールに違反。これにより、企業は法的な制裁を受けるに至った。
この様な誤爆は企業内の従業員だけでなく、顧客からも起こり得ます。大手寿司チェーン店で共用の皿やしょうゆ刺しをペロペロと舐めた動画のSNS拡散はその一例です。この企業の株価は1日で145円下落し、その損害額は160億円とも言われています。

企業SNS誤爆の影響

企業のSNS誤爆は、波紋を呼び、その影響は多方面に及びます。企業評判の毀損、法的なリスク、ビジネスパフォーマンスへの影響といった、その深刻さは見過ごせません。ここでは、日本のビジネスシーンを想定して、SNS誤爆が会社にもたらす可能性のある具体的な影響について考察します。

企業評判への影響:

企業のSNS誤爆は、企業の評判を著しく傷つける可能性があります。例えば、アパレル業界の一角を担っていたある企業は、未発表のデザインを誤ってSNSに投稿してしまいました。これにより、業界内でその企業の信頼性が揺らぐ事態となりました。また、大手飲食店チェーンがSNSに不適切なコメントを投稿した結果、ボイコット運動が起きてその評判が一夜にして暗転した事例も存在します。

法的影響:

誤ったSNSの投稿は、法的な問題にも直結します。フィットネスクラブが会員の個人情報を誤って公開した結果、プライバシー保護法違反の疑いで訴えられる事態となりました。また、ある製薬会社が未承認の薬品についての過剰な広告を投稿したため、広告基準法違反に問われ、罰金を支払うことになった例も報告されています。

ビジネスへの影響:

SNS誤爆がビジネスパフォーマンスにも影響を与えることは、避けられません。一部の取引先が不適切な投稿を理由に大手IT企業とのビジネスパートナーシップを解消した事例があります。その結果、大幅な収益減少につながりました。また、内部資料を誤って公開した結果、製品開発の秘密が競合企業に漏れ、市場での競争力を失った製造業の会社があることも事実です。

SNS誤爆:5つの対策

企業のSNS誤爆は深刻な影響を及ぼす可能性がありますが、これを防ぐための対策も存在します。ポリシーの明確化と教育、システムやツールの活用、そしてクライシスマネジメントの準備など、事例を交えながら具体的な対策を探求していきます。

①ポリシーの明確化と教育:

SNS誤爆の対策の一つとして、社内ポリシーの明確化と従業員への教育が重要となります。   例えば、ある広告代理店では、SNSポリシーを社内の明確なガイドラインに落とし込み、定期的な研修を通じて従業員に理解を深めさせました。この結果、SNS誤爆の発生率は著しく減少しました。また、大手IT企業では新入社員のオリエンテーション時にSNSの利用ガイドラインを教育し、定期的な更新と確認を行う体制を作り上げました。

②システム・ツールの活用:

SNSの投稿ミスを防ぐために、適切なシステムやツールの活用も重要です。飲食業界の一企業では、投稿前に確認プロセスを経るSNS管理ツールを導入。これにより、誤った投稿が公開されるリスクを大幅に低減しました。さらに、ある教育機関ではSNS管理ツールを活用し、投稿内容の承認プロセスを設けることで誤爆を防止しています。

③リスク評価と監視:

企業のSNS誤爆を防ぐための対策として、定期的なリスク評価と監視も必要となります。この手法は、誤爆が起こる可能性を事前に把握し、適切な対応策を立てるための重要な工程です。   例えば、一部の金融機関ではSNS投稿のリスク評価を定期的に行い、危険度によって投稿の承認プロセスを強化したり、特定の投稿を制限したりしています。また、大手メディア企業では、定期的なSNS監視を行い、異常な投稿や予期せぬリークがないかを確認するシステムを設けています。

④チームの役割と責任の明確化:

SNSの管理は、個々の従業員だけの責任ではなく、組織全体での取り組みが必要です。そのためには、SNS運用に関わるチームの役割と責任を明確にすることが重要です。特定の情報を公開する権限は限定的な人物に限定し、誤爆リスクを最小限に抑えることができます。   たとえば、ある自動車メーカーでは、SNS運用チームを設け、投稿内容の作成から公開までの全プロセスについて明確な役割分担と責任範囲を定めました。これにより、誤爆による情報漏洩のリスクを大幅に低減することができました。

⑤クライシスマネジメントの準備:

万が一のSNS誤爆に備えて、クライシスマネジメントの体制を整えることも重要です。大手製薬会社では、誤った投稿が行われた際の迅速な対応プロセスを設け、情報が広まる前に対策を施す体制を構築しました。   また、ある通信会社では、誤った情報が公開された場合の公式な謝罪と情報訂正のプロセスを事前に策定。これにより、企業の信頼性を一定のレベルで維持することが可能となりました。

まとめ:誤爆を未然に防ぐために

SNS誤爆は、企業の評判、法的リスク、ビジネスパフォーマンスといった多面的な影響を及ぼす可能性があります。しかし、そのリスクは、適切な対策を講じることで最小限に抑えることが可能です。 まずは、社内ポリシーを明確にし、従業員への教育を徹底することが重要です。SNSの使用に関するガイドラインを作成し、それを全員が理解し遵守する文化を醸成することで、誤爆のリスクを軽減できます。   次に、SNSの投稿管理を支えるシステムやツールの活用も欠かせません。投稿前の確認プロセスや、内容の承認プロセスを設けることで、間違った情報が公開されることを防ぎます。   そして最後に、万が一の誤爆に備えてクライシスマネジメントの体制を整えておくことも大切です。誤った情報が公開された場合の対応プロセスを設け、事態の拡大を未然に防ぐことが求められます。   これらの対策は、単にSNS誤爆を防ぐだけでなく、企業全体のコミュニケーション力を向上させ、企業の信頼性を保つ上でも大きな役割を果たします。企業SNSの適切な管理と活用は、現代のビジネス環境で必要不可欠なスキルとなっています。