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企業のSNSアカウントなりすまし:その目的と被害事例、対応策と被害に遭った場合の対応

2023年07月03日

読了時間目安: 6分


企業のSNSアカウントなりすましは、近年、新たなサイバー犯罪の形態として注目を浴びています。

企業の信頼と知名度を悪用し、消費者をだます目的で行われるこのなりすまし行為は、企業にとって深刻な被害をもたらす可能性があります。

本記事では、その具体的な目的や実際に発生した被害事例を探り、なりすましに対する対策と、万が一被害に遭った場合の対応について考察します。

企業SNSアカウントなりすましの3つの目的

企業のSNSアカウントなりすましは、犯罪者たちがさまざまな不正な目的を達成するための一手段となっています。その主な目的は大きく分けて3つあります。

まず、一つ目の目的は、消費者の「個人情報の窃取」です。これは、なりすましアカウントが企業の公式アカウントと錯認され、消費者が安心して個人情報を提供することを狙ったものです。

二つ目の目的は、「企業のブランドイメージの損害」です。これは、偽のアカウントが不適切な投稿を行い、それが実際の企業の声明であると誤解されることで、企業の信頼性やブランド価値が損なわれることを狙ったものです。

これにより、企業の顧客やパートナーとの関係性に深刻なダメージを与える可能性があります。

そして、三つ目の目的は「金銭的詐欺活動」です。これは、偽のアカウントがキャンペーンや抽選などを装い、消費者から金銭を騙し取ることを狙ったものです。

「個人情報の窃取」「企業のブランドイメージの損害」「金銭的詐欺活動」これら3つの目的を達するためにあった実際のなりすましと具体的な被害実例について見ていきましょう。

事例①:個人情報の窃取

まず、「個人情報の窃取」の目的で行われたなりすましの具体的な事例として、国内の大手航空会社のSNSアカウントを偽装したケースが挙げられます。

この偽装アカウントは、無料航空券を勝ち取るための抽選会を装い、ユーザーからパスポート番号やクレジットカード情報などの個人情報を盗み出すことに成功しました。

この事例では、無償のサービスと引き換えに敏感な情報を提供することを求められる際には、その信憑性を確認することの重要性が浮き彫りとなりました。

事例②:企業のブランドイメージの損害

次に、「企業のブランドイメージの損害」を引き起こす事例としては、英国を拠点とするあるアパレルブランドが被害に遭ったケースです。

なりすましアカウントは、そのブランドの公式アカウントと誤認させ、あり得ないような割引価格で宣伝している広告を目にさせました。ユーザーは、正規のブランドページのように見せかけた別のウェブサイトに誘導され、詐欺サイトであることを見逃し、詐欺商品を購入。

ブランド側に直接の責任がない場合であっても、一部の顧客はブランドに対して裏切られたと感じてしまうため、対処せざるを得ない状況になってしまいました。

事例③:金銭的詐欺活動

最後に、「金銭的詐欺活動」を目的としたなりすましの事例としては、ある大手エンターテイメント会社のケースが挙げられます。

偽の公式アカウントは、新作ゲームの”先行体験版”を試せるとの嘘を流布し、ファンからの前払いを詐取しました。この事例は、先行予約や限定サービスに対するユーザーの高まった期待感を悪用する形で、金銭的な被害を生み出す手口を示しています。

なりすましに対する対策

企業がSNSのアカウントなりすましに対して適切な対策を講じることで、被害の予防や軽減が可能となります。ここでは、その対策を「アカウント認証の強化」、「ユーザーへの教育と情報共有」、「監視と迅速な対応」の三つの視点から具体的に見ていきましょう。

アカウント認証の強化

多くのSNSプラットフォームは、企業アカウントの認証システムを提供しています。企業はこの認証システムを利用することで、自社のアカウントが本物であることを明示し、なりすましによる偽アカウントとの区別をユーザーに明確にすることが可能です。

例えば、Twitterでは認証済みアカウントに青いチェックマークが表示され、Instagramでも同様のシステムが存在します。これらを活用することで、ユーザーが誤って偽アカウントと交流するリスクを軽減することができます。

ユーザーへの教育と情報共有

企業が自社のSNSアカウントを通じて、なりすましアカウントの存在やその見分け方、安全なSNSの利用方法についての情報をユーザーに定期的に提供することも有効な対策です。

例えば、企業が公式アカウントから「私たちはあなたの個人情報をSNS上で直接尋ねることはありません」というようなメッセージを投稿することで、ユーザーはなりすましアカウントからの不適切な問い合わせに対して警戒することができます。

監視と迅速な対応

常時監視体制を強化し、なりすましアカウントの発見次第、速やかに対応することも重要です。偽アカウントの発見は、時にはユーザーからの報告によるものもありますが、企業自身も専門的なモニタリングツールを活用し、定期的に自社ブランド名を検索するなどして自主的にチェックすることが求められます。

内部統制の強化

企業内部でのSNS利用ガイドラインの策定と徹底もなりすまし防止策として重要です。ガイドラインを設けることで、社員がどのような情報を公開してよいのか、どのような対応をすべきかなどを明確にすることができ、偽アカウントによる情報窃取を防ぐことが可能となります。

また、定期的な教育・研修を行うことで、社員一人ひとりがSNSを安全に適切に利用できるようにすることが求められます。

協力企業との連携

協力企業との連携もなりすまし対策に役立つことがあります。なりすましは、自社だけでなく取引先や関連企業にも影響を及ぼす可能性があります。

そうした企業と情報共有を行い、共通のガイドラインを策定したり、互いに監視を強化したりすることで、一層のなりすまし防止が期待できます。また、なりすまし被害が発生した場合には、協力企業と連携して迅速かつ適切に対応することも重要となります。



なりすまし被害に遭った場合の対応方法

SNSアカウントなりすましは不適切な行為であり、その被害に遭った際には、迅速かつ適切な対応が求められます。

以下では、「SNSプラットフォームへの報告」、「公式アカウントからの注意喚起」、「法的対応と被害の回復」、「定期的なリスク評価と見直し」「法的対応と損害の回復」の視点から、具体的な対応方法について見ていきましょう。

SNSプラットフォームへの報告

まず、なりすましアカウントを発見した場合、速やかにそのプラットフォームに報告することが重要です。

ほとんどのSNSは、なりすましや不正行為に対して報告機能を提供しています。報告後はプラットフォーム側が調査を行い、確認次第アカウントを削除してくれます。これにより、さらなる被害の拡大を防ぐことができます。

公式アカウントからの注意喚起

次に、自社の公式アカウントから、ユーザーへの注意喚起を行うことも有効な対応となります。偽アカウントの存在やその特徴、安全な利用方法などについてユーザーに対し明確に伝えることで、ユーザー自身の安全なSNS利用の理解を深めるとともに、新たな被害者が生じることを防ぐことができます。

ユーザーへのサポート体制の強化

なりすまし被害に遭った場合、ユーザーが混乱したり、対応に困ったりすることがあります。そうした時に、企業から適切なサポートを提供することが重要となります。

具体的には、問い合わせ窓口の設置、専門スタッフによる対応、情報提供の迅速化などが考えられます。これにより、ユーザーが安心して企業とコミュニケーションを取ることができ、さらなる被害の拡大を防ぐことができます。

定期的なリスク評価と見直し

なりすまし被害が発生した場合、その原因を突き止め、同様の被害が再発しないような対策を検討することが重要です。そのためには、定期的にリスク評価を行い、防止策や対応策を見直すことが求められます。

具体的には、発生した被害の内容や規模、発生原因や経緯、対応の適切さなどを評価し、その結果をもとに対策を見直します。これにより、企業はより高度な防止策と対応策を策定し、被害の最小化を図ることができます。

法的対応と被害の回復

最後に、なりすましによって法的な問題が発生した場合、適切な法的対応を考慮することも必要です。そのためには、法律の専門家と相談し、必要な証拠の保存や記録を行うことが重要となります。

また、被害の回復に向けては、企業イメージの修復活動や、ユーザーとの信頼回復のための対話などを行うことが求められます。

まとめ:企業SNSのなりすまし対策と被害対応の重要性

SNSのアカウントなりすましは、企業の信頼やブランドイメージに大きなダメージを与え、ユーザーに混乱や被害をもたらす潜在的なリスクとなります。

その対策として、アカウント認証の強化、ユーザーへの教育と情報共有、そして定期的な監視と迅速な対応が重要となります。

また、もしもなりすまし被害に遭った場合には、SNSプラットフォームへの報告、公式アカウントからの注意喚起、適切な法的対応と被害の回復のアクションを考慮することが求められます。

このような対策を通じて、企業はSNSを安全に、そしてその潜在的な価値を最大限に活用することができます。なりすまし被害は、一人一人の適切な行動によって防ぐことが可能です。

企業としては、ユーザーが安全にSNSを利用できるよう、引き続き情報提供と啓発活動に努めてまいりましょう。