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不祥事会見で炎上を加速させないためのポイント

2024年02月21日

読了時間目安: 6分


2023年は多くの企業不祥事が発生し、会見も多く行われました。ビッグモーター社、旧ジャニーズ事務所、日本大学、最近ではダイハツ社と名だたる有名企業でも不祥事が発覚し、会見を開くことになりました。

企業不祥事案件が多くなると、「企業不祥事会見を開く場合の成功例はどのようなものですか?」というお問い合わせをいただきます。しかし「不祥事による会見」を実施する時点で、「かなり後手を踏んでいるマイナスな状態」であることを理解する必要があります。
その上で、「会見で炎上を加速させないポイント」を紹介します。

会見を実施するということ

企業不祥事の会見はマスコミ報道でよく見ます。テレビでは会見の一部を「切り取られた形」で放送されているので、かなり「センセーショナル」になっています。

そもそも「会見を実施する=不祥事を起こしてしまった」ケースがほとんどです。「メディアから詰問される」こと自体については「不祥事を起こしたのだから責められるのは当然。真摯に謝罪し、対応策と説明し、今後の対策を含めて企業姿勢をご理解いただこう」という気持ちで対応するしかありません。

しかしながら「言うは易く行うは難し」です。人間だれしも追いつめられると「言い訳」をしたくなりますが、その言い訳をついてくるベテランの記者の方もいます。「記者会見では真摯に対応し、言い訳はせずに誠意をもって対応する」ことが炎上を加速しない最も有効な手段です。

実施のタイミング

記者会見は実施のタイミングが非常に重要です。早すぎてもダメですし、遅すぎてもダメです。貴社からの質問に「完璧に答えることができる状況」まで待つと遅すぎますし、中途半端な状況で会見すると対応が甘いということになります。ちょうど良いタイミングを計ることは非常に難しく、事案と状況によって判断するしかありません。

会見は準備で90%決まる

会見は準備で90%成否が決まります。
不祥事会見の場合のメディア質問は大きく3つに分類でき、この『3つの質問』に対して、「真摯に回答できるか」で会見の流れが決まります。

質問1:現状把握

記者は事前に取材しているので、おおよそ概要は理解しています。不祥事を起こした会社自身がどの程度現状を把握しているかを確認するとともに、現状把握が中途半端ならその部分を指摘します。

質問2:現状の対策状況・今後の対応策

現状、不祥事対策としてどのような事に取り組んでいるのか、被害の拡大はしないのか、その対策で十分なのか、を「メディアの使命」として確認します。「再発はしないのか」は、メディアの矜持として確認をすべき事項です。

質問3:責任の所在、取り方

この部分が昨今一番先鋭化している部分です。確かに不祥事を起こしてしまった以上、最終的には「企業としてどう責任をとるか」という判断は企業として必要です。しかし、「世論」を味方につけ「責任追及を執拗に行う」のは「企業にこのような過ちを二度とさせないために」という意思もメディアにはあります。

会見終了後、不祥事は起こしてしまったものの、「真摯に対応している」「反省している」という世論の流れができれば、「いくら会見でメディアから責められたとしても」、その後の炎上の可能性は低くなります。ただし、対応策が機能して、再発されないことが前提条件です。

会見時の心構え

不祥事会見の出席者になってマスコミと対峙するのは非常に心苦しいものです。できれば避けたいのが本音でしょう。

会見時には「前述の『3つの質問』が、質問形式を変えて繰り返される」という前提でQ&Aを想定し、「類似の質問には同じ回答をする」ということを意識することが必要です。メディアは「前の回答と異なる部分」に着目をします。その「異なる部分」に「さらに質問」をすることで、真実を明らかにしようとします。人間は、同じ質問を何回もされると「同一内容でもニュアンスが異なる表現」や「情報を付加して話す」などをしてしまいます。そのため、必要以上の事、特に調査中の内容は話さないのが基本です。

会見する事態にしないための「予防措置」が重要

不祥事会見の成否は非常に判断が難しいものです。「何をもって成功か」という判断は企業によって様々ですし、たとえ「真摯な対応をされた会見でも、その後の記事はほぼ「批判一色」になります。特に怒号が飛び交うような会見になると記事を起因とする大炎上は避けられません。

会見後に炎上してしまう企業には、「予防措置」がとられていない企業が多いです。「不祥事を起こさない仕組み」はもちろんですが、「会社の危機を事前察知する」「事前に察知をした段階で対策を講じる」ことも「予防措置」です。前述の通り、「不祥事会見」は企業として困難が待ち受けています。会見実施によって企業のブランドをさらに悪化させるケースも少なくありません。

会見のインパクトからか「炎上対策(消化活動)」に注目が集まり、「予防措置(防火活動)」があまり行われていないのは不思議です。会見は「あくまで最終手段」であって、ブランド悪化防止のためのひとつの方策でしかありません。「会見をしないで済むような仕組み」を構築することを、強くお勧めします。

SNSでの炎上発生後、対応を誤りさらなる炎上拡大というケースは非常に多いです。炎上する前の「対策」をいかに打てるか、「ボヤ段階」で消化ができるかが、企業ブランドを保つための重要な施策になります。