従業員によるSNS発信による炎上を防ぐための教育と規程整備のポイント
2024年07月19日
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今回は「従業員によるSNS発信が発端となる炎上」を防止するための、従業員教育と規程整備のポイントを解説します。
個人のSNS利用を禁止することはできない
個人のSNS利用を企業が禁止することはできません。企業が持つ指揮権はあくまで「業務範囲内」だけですので、個人で利用するSNSを禁止する権限はありません。業務外のプライベートにおいては、憲法21条で「表現の自由」が保証されていることもあり、個人のSNS利用は「個人の責任において」実施されていることを、企業は認識する必要があります。
自身の投稿がもたらす影響を理解することが必要
従業員が個人で利用しているSNSをきっかけとした炎上で、企業に影響を及ぼす事態がままあるのは、「何を投稿するとどのような問題につながるのか」従業員一人一人の理解が乏しいことにほかなりません。
企業の機密情報(取引先情報や新製品情報)や個人情報など、「漏洩すれば企業経営の根幹を揺るがす情報」もSNSの匿名性への過信から漏洩します。このような漏洩をした場合は、企業も責任を取ることになります。企業サイドとしては、「企業も被害者」と思いたいですが、「従業員不祥事=企業の管理不足」と認識されます。
よって、従業員による不祥事が起こる前に、「企業としてどのような対策をし、不祥事を未然に防ぐか」が重要になります。
研修をするだけは難しい「自分事化」
今や、企業として従業員のSNSリテラシー教育に取り組む企業は多いです。そしてこの教育は、現代においては「マスト」です。企業として、従業員にSNSに関する教育機会を提供し、知識を取得してもらうことは重要です。従業員がSNSの知識を得ることが「未然の防止」につながります。
しかしながら、研修をしても身についていないケースや、研修を受講すること自体が目的になり「自分事できていない」ケースも多いです。
社内規程の整備が「自分事化」を促す
教育をより効果的とするには「受講者に自分事として理解してもらう」工夫が必要です。
このための手段の一つとして、「社内規程の整備」が挙げられます。
例えば、人事規程を改定し、従業員に「誓約書」へのサインを求めるという方法があります。人事規程は、SNS利用規程と懲罰規程と連携をさせ、「違反をした場合に自分がどのような罰則を受けるか」を明示・明文化します。SNS利用規程は、業務内容を投稿しない、企業の情報を投稿しない、など当たり前の内容が中心になりますが、懲罰内容まで明文化することで「従業員が事の重大さを理解し、自分事化しやすい」環境を整えることができます。
社内規程があいまいなために二次炎上を引き起こした事例も
実際に発生した過去のSNS炎上では、社内事情をSNS投稿した従業員に対し、企業側が処分を行った例も数多くあります。しかし、社内規程があいまいだったために、投稿者が企業に不服申し立てを行い、その係争内容がSNSに投稿され再炎上したケースもあります。
ネットの誹謗中傷に対応する「法律」に不備や不足が指摘されているような状況下です。自社を守るためにも、社内SNS規程を始めとした社内規程を整備しておくことをお勧めします。