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ブランド力を高める広報戦略:ファンは企業を救う

2025年05月20日

読了時間目安: 4分


広報の本質は「企業・商品のブランド力を高め、棄損を防ぐこと」にあります。本コラムでは、広報活動を通じてファンを作る重要性と、ファンが企業の危機を救った事例を紹介します。

ファンを作り育てる戦略

「企業・商品のブランド力を高め、棄損を防ぐこと」は、広報の使命です。

具体的には、企業・商品のロイヤルカスタマーを増やす、つまり「ファンを作る」ことにあります。この「ファン」はとても貴重で重要な存在で、危機事案の発生時にも「強力な援軍」としてサポートしてくれます。

ブランドは、歴史や伝統、企業のポリシーや姿勢、文化など多くの要素から構成されています。広報の仕事は、「効率的で簡潔に」「ファンの方々、およびファンになってもらいたい方々」に企業からのメッセージを届けることです。時間をかけて根気よく、ブレないメッセージを様々な方法で発信し続ける必要があります。

ファンの力で危機を乗り越えた企業

成功例としては、「石屋製菓とコンサドーレ札幌サポーターの幸せな関係」が挙げられます。

「白い恋人」で知られる石屋製菓は、サッカーチーム「コンサドーレ札幌」をスポンサーとして支えていましたが、2007年8月に「白い恋人」の賞味期限不正表示が発覚し、商品販売停止の事態に陥りました。トップブランドは会社の収益に大きく貢献しますが、危機発生時には負の影響も大きく、2008年の決算では赤字となりました。不正表示は食品会社としては致命的なダメージになりかねない事案ですが、この危機を救ったのがコンサドーレ札幌のサポーターたちでした。

2007年11月、「白い恋人」の販売が再開された際、少なからず批判の声はありました。しかしその時、「白い恋人は大丈夫」「私は食べる」とメッセージを発信し、購入を続けたのが、コンサドーレ札幌のユニフォームを着たサポーターたちでした。「苦しい時から支えてくれた石屋製菓さんを今度は我々が助ける番だから」という言葉を発信したサポーターもいました。

賞味期限不正表示というセンシティブな問題をサポーター達が「いつも通り美味しい」「北海道が誇るお菓子」と発信することで、心配や疑念を吹き飛ばしたのです。この行動は他のチームのサポーターにも影響を与え、北海道へのアウェー遠征に帯同した他チームのサポーターたちにも「白い恋人購入の輪」が広がりました。

石屋製菓の社長も、サポーターたちのこの自主的な行動に感謝の意を表明しています。こうした例からも、危機時に支えてくれる「ロイヤルカスタマー=ファン」を作ることの重要性がわかります。

継続的な発信でファンづくりを

ブランドを形成し強化するためには、広報活動を通じて一貫したブランドメッセージを発信し続けることが重要です。近年はSNSなどのメディアを活用することで、消費者との双方向のコミュニケーションも取りやすくなりました。このように緊密な関係を築くことが、ファンを作ることにつながり、ブランドの持続的な成長を支える力となります。