特集レポート

11月特集記事

2021年11月29日


2021年も残すところ1ヵ月となりました。弊社ではそろそろ今年のソーシャルリスクの総括をおこなっております。2021年に増加したご相談のひとつに、「なりすましアカウントに関する対策」があります。背景として、SNSが企業の広報活動として取り入れられていること、SNSの普及により、消費者と企業のコミュニケーションの距離感が近くなったことが挙げられます。そのため、サイバー犯罪の舞台として悪用されるリスクが高まってしまいました。 総務省が発表した「平成30年通信利用動向調査」によると、企業のSNS活用状況は36.7%で前年から約8%も増加しました。企業によるSNS活用が増えるにつれて、なりすまし被害も発生しています。その手口、対策方法について整理してみましょう。

なりすましアカウントの手口

まず企業名やサービス名で「公式」と称してSNSでアカウントを作成します。IDは本物の表記を巧妙に少しだけ変えています。本物だと誤認してアカウントをフォローした人に向け、「キャンペーンに当選しました」「セキュリティ上の警告です」といった関心の高い内容のダイレクトメッセージを送り、偽のキャンペーンサイト(実際はフィッシングサイト)のURLを載せて個人情報を聞き出します。狙われるのは、生活者に密着している企業やキャンペーン中の企業です。「商品を送るので住所を教えてほしい」という内容に騙されてしまう人もいます。公式アカウントのなりすまし被害は、企業自身に責任はなくても、被害者からのクレームが寄せられるケースや、対応の批判をネット上で公開される場合があります。

被害に遭わないための対策

なりすましアカウント被害に遭わないために、以下3つの方法をご紹介します。

①認証バッジの取得

各SNSには、公式アカウントであることを証明する方法があります。SNSごとに認証される条件が異なりますので、運用しているSNSに合わせて対応を進めることをお勧めします。例えば、Twitterの場合は、6カ月以上の運用やフォロワー数、投稿数などがチェックされます。またInstagramやFacebookでは、法人としての実体性担保のため登記簿等で証明する手続きが必要です。

②モニタリング監視

なりすましアカウントの存在は、まずSNSを企業名で検索して発見します。これは、なりすまし側もハッシュタグ(この場合はキャンペーン名、企業名のタグ)を付けている場合が多いからです。同時に、なりすまし被害にあったことを報告する投稿も発見できるかもしれません。被害を最小限に食い止めるために、各SNSのチェックが必要です。毎日、自社名、サービス・商品名などのアカウントがないか、不審な投稿がないかチェックする体制を整えます。自力でのチェックが負担である場合は、専門のSNSモニタリングツールを導入しましょう。

③なりすましアカウント削除申請

なりすましアカウントを発見した際には、各SNS運営事業会社に対して、削除申請もしくは凍結申請で個々に対処することができます。しかしながら、対応するまで時間がかかり、複数回わたって申請しなければ対応してもらえない場合もあるようです。とても根気のいる作業になります。削除までに数カ月かかる場合もあります。そこで、弊社では企業のご担当者のかわり、なりすましアカウント発見から削除・凍結申請まで行うサービスをおこなっております。

まとめ

SNSを活用した広告宣伝、キャンペーンによる新規顧客獲得を試みる企業は増え、その市場規模も増加傾向です。令和2年に実施した株式会社サイバー・バズ社の調査によると、国内ソーシャルメディアマーケティング市場規模は 5,519億円で、前年比107%となる見通しとの調査結果があります。「なりすましアカウント」による一般消費者を被害に遭わせないため、そして自社を守るためにも、「モニタリングによる監視」、「認証バッジによる対策」、「なりすましアカウント発見後の対応」をするべきだと考えています。
SNSアカウントを持っていない企業でも、勝手にアカウントが作られている場合もがあります。また、地方公共団体、著名人なども、なりすましアカウント被害が発生しています。企業のSNSを見てくれる人、フォローしている人の多くは、その企業への関心が高い方や、企業のファンです。そのファンを守り、被害を最小限に抑えるためにも、一度SNS上での自社アカウント状況の調査をしてみてはいかがでしょうか。