炎上動向調査マンスリーレポート

炎上動向調査マンスリーレポート 2021年11月号

2022年03月25日


2ちゃんねる、Twitter、個人ブログより抽出
(Twitterデータは10分の1のサンプリングデータ)

2021年11月の「炎上」した案件について振り返ります。主な炎上案件として、「爆笑問題・太田光氏の選挙特番での発言」、「町おこし企画“温泉むすめ”のキャラ設定が性差別問題」がありました。特に「温泉むすめ」の案件については、11月3週目から3週連続で関連ワードが上位に出現し、Twitter上での投稿も多かったと記憶しています。
2021年流行語大賞では「ジェンダー平等」がノミネートされました。世論全体として、「性差別」や「ジェンダー」について、社会的な課題を抱いている中で、「温泉むすめ」の内容について不快感を持った方は多かったのではないでしょうか。

「温泉むすめ」の広告は、町おこしのPRの一環として、「温泉地を美少女に擬人化する」という手法が打ち出されたものです。しかしながらキャラクター設定に性差別的な表現があるという指摘があり、批判が広がってネット炎上となってしまいました。今回は企業がPR活動において、「性差別」や「ジェンダー」を起因としたネット炎上を起こさないために、どのようなことに気を付けるべきか整理していきましょう。

過去にもあった「性差別」関連の炎上景

まず、過去のネット炎上事例を紹介します。ある自治体のふるさと納税のCMにて、地元特産のうなぎを、少女に擬人化して「僕が大切に飼育する」という物語が、「性差別」及び「児童ポルノ」だと批判を受けネット炎上しました(2016年)。
最近では、ストッキングメーカーの公式Twitterで、「タイツの日」のキャンペーン企画として「タイツを履いた女性のイラスト」を活用した際に(2020年)、その中に短いスカート丈や性的イメージを喚起する言葉が含まれていた点が問題視されます。この事案は「性差別を想起させる企画」として非難が広がりました。
実は企業だけではなく、組織トップの発言にも注意が必要です。五輪組織員会の当時会長の森喜朗氏の性差別発言に批判殺到し、それを受けて会長交代するという出来事がありました(2021年2月)。森氏の発言の内容は、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」というもので、「性差別」「ジェンダー」の観点で国内外から批判が殺到しました。
当然ですが、公式SNS担当者だけでなく、組織のトップや個人の発言でも「性差別」や「ジェンダー」に抵触しないか気を付けるべきです。では、企業が広告を出す上で、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

簡単なチェック方法の紹介

埼玉県男女共同参画推進センターのウェブサイトの記事「特集 メディアとジェンダー 広告における男女や家族の描かれ方から考える」では、広告における男女や家族の描き方について詳しい記載があります。その中で、ぜひ活用していただきたいのが、「表現チェックシート」です。これは、男女共同参画推進の視点で作成されたチェックシートです。広告を出す前にぜひご活用してみてください。

出典:埼玉県県民生活部男女共同参画課 「男女共同参画の視点から考える表現ガイド ~よりよい公的広報をめざして~」

まとめ

世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」によると、日本の順位は156か国中120位でした。この順位は、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果でした。
我が国では、まだまだ性別へのステレオタイプの考え方が残っているのが現実です。しかし、女性の社会進出、男性の育児参加、性の概念にとらわれない新たなライフスタイル・価値観も広がってきています。その時代の変化・ニーズに合わせ、個人、企業自身が、「性差別」や「ジェンダー」に関する認識をアップデートするタイミングです。
特に、消費者に近い広告担当者は、より受け手である消費者の視点を意識するべきでしょう。受け取る人の感じ方を想像する力を養わなければ、今回紹介したような性差別発言が生まれてしまうかもしれません。そのようなことが起こさないために、ジェンダー平等についてリテラシーを深めましょう。自分の間違った考えや発言がネット炎上の火種を起こすような事態は、避けたいものです。従業員から経営トップまで、「他人事から自分ごと化」するひとりひとりの意識改革が重要です。
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