炎上動向調査マンスリーレポート

炎上動向調査マンスリーレポート 2022年2月号

2022年02月21日


2ちゃんねる、Twitter、個人ブログより抽出
(Twitterデータは10分の1のサンプリングデータ)
2022年1月の「炎上」した案件について振り返ります。主な炎上案件として、「おにぎり試食拒否シェフ炎上事件」、「TikTok運営会社が一般投稿を装い宣伝した問題」、「マイメロママの毒舌発言が物議」などが発生しました。
今回は、「TikTok運営会社が一般投稿を装い宣伝した問題」について取り上げます。この問題では、いわゆるステルスマーケティング(以下、「ステマ」とします)に該当する行為が問題となりました。  ステマとは、消費者に宣伝広告であることを隠し、悟られないように宣伝活動をすることを意味します。ステマについては、2021年11月、サプリメント会社のステマに対して、消費者庁が景品表示法(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出しました。この事例では、消費者庁として、初めてステマに対して行政処分を出しました。今回は、ステマの問題点とネット炎上をしないために企業が気を付けるべきことを整理してみましょう。

ステマの問題点について

ステマは、主に2つの類型に分けることができます。1つ目が、企業が一般消費者を装って商品等のレビューを投稿する手法です。例えば、業者が利用者になりすまして、自社商品・サービスに好意的なレビューの投稿する行為や、消費者になりすまして敵対企業の悪口を書き込む行為が該当します。 2つ目が、芸能人やインフルエンサーに報酬を渡して宣伝であることを伏せて、商品やサービスを宣伝する手法です。2022年1月に炎上した「TikTok運営会社が一般投稿を装い宣伝した行為」が該当します。2つの類型とも、消費者の購買決定の意思に深く関わり、商品・サービスに対する正常な判断を難しくしてしまいます。ステマが発覚した場合、本来なら選ばなかった商品を買わされた消費者にとっては「騙された」「損をした」と不快感を覚え、企業に対する批判や信頼が失墜します。

法律上の規制について

現行法上、ステマを直接規制する法律はありません。しかし、既述したサプリメント会社のステマの行政判断のように、景品表示法にある規定を法解釈によって適用して違反となる可能性があります。
景品表示法とは、企業の広告宣伝を規制する法律です。その中でも不当表示について規定しており、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2つにわけることができます。「優良誤認表示」とは、商品・サービスの品質や内容について、実物より著しく良く見せかける表示のことをいいます。一方、「有利誤認表示」とは、商品・サービスの価格などを著しく有利に見せかける表示のことをいいます。
ステマについては、広告であることを隠して商品・サービスを宣伝する行為となり、「内容を偽っている」

と解釈され、「優良誤認表示」に該当し景品表示法違反になる可能性があります。

注意するべきこと

上述でもあるように、ステマは、広告や宣伝であることを隠して商品・サービスについて評価や情報を発信することです。宣伝であることを隠していることが問題であり、芸能人やインフルエンサーが広告であることを明記して商品・サービスを紹介することは問題ありません。そのために「#広告」「#宣伝」「#PR」といった文言を入れるなど、消費者へのわかりやすい表記が必要です。
 ステマが発覚した場合、企業への信頼が失墜、さらにネット炎上に発展します。さらに、炎上への対応、株価暴落、採用活動など企業自体へのダメージは深刻です。また行政処分がなされる可能性もあります。
「悪事千里を走る」という故事があるように、悪い噂ほど広く知れ渡ってしまいます。企業は、ステマの定義や法規制、社会的影響などを理解し、消費者の目線に立った広報活動が重要ではないでしょうか。