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危機発生時の取材対応のポイントは?

2024年06月03日

読了時間目安: 4分


企業が危機に直面したとき、広報の対応がその後の信頼回復に大きく影響します。新聞・TV・ネット・週刊誌などの報道は、時として過去の事案まで遡り、現在の問題と結びつけられて報道されることもあります。

このような特性を理解し適切な対応を行うためには、「危機発生時の取材対応」はもちろん「平時からの準備」が重要になります。

日頃の情報収集の大切さ

危機発生時に適切な対応を行うためには、平時からの準備が不可欠です。

メディア記者は、現役社員、元社員、株主、金融機関など様々な人物とのコネクションを活用し「周辺取材」を行っています。特に危機発生時においては、「企業に不満を持っている」人物が喜んでメディアの取材に応じます。このような人物は、メディアの取材に応じるにとどまらず、SNSで「これまでの会社への不満」を投稿しているケースもあります。

メディア記者がSNS投稿からネタを拾うケースは非常に増えています。企業の広報部門では日常的にSNS監視を行い、「火種」の早期感知を行う必要があります。早期に火種を感知し、関連部署への共有、経営陣への報告、社内広報を行うことで、社内不安の解消につなげることができ、メディア取材への準備を行う余裕が生まれます。

取材に対する否定の仕方

危機が発生し第一報が報じられた後のメディア取材において、企業の広報部門に取材依頼が来るのは、「最後」になるケースが多いです。これは、記者が先述の「周辺取材」を先に行い、関係者や元関係者からの情報入手を終えたあと、広報部門に事実を「当て」に来る(確認をする)ケースが多いためです。

このようなケースで広報がとれる手段は、「事実なら認める」あるいは「事実でないなら否定する」かの二択となります。

【事実の場合】

メディアからの指摘が事実であれば、全面的に認めるのではなく「小さく」認めて、事実の説明をするのがスタンダードな手法です。メディアの取材も完璧ではなく、事実誤認の内容が含まれていることがあります。正しい部分は認めつつ、誤っている部分があれば訂正しましょう。

最悪な対応は「事実なのに否定する」ことです。この対応をとってしまうと、事実が露見した際、過去に否定した実績を踏まえた連続報道が行われ、大炎上へとつながりかねません。

【事実ではない場合】

事実ではない場合、きっぱり否定します。その際、否定の仕方に気を付けましょう。


記者の主張は丁寧にヒアリングしたうえで、誤っている部分を具体的に指摘し、訂正しましょう。また、その際に重要なのは「誤報を心配するスタンスを崩さない」ことです。記者も誤報は流したくありません。熱心に報道の仕事に取り組む記者に寄り添う気持ちを忘れず、対応しましょう。

誠実な対応が企業ブランド力を高める

危機事案の発生時、どのように事実と向き合い、メディアと対峙するのか。広報担当者としての覚悟が問われる場面です。

危機管理広報の仕事は、ブランド低下を極力防ぐこと、そして従業員を含め「企業」を守ることです。広報の対応次第で、企業がつぶれる可能性もあることを自覚し、覚悟をもって臨まなければなりません。どの仕事でも言えることですが、「誠実に対応をすること」が結果としてよい結果に繋がります。メディアに厳しいことを書かれたとしても、記者に誠実な広報対応を行い正確な内容を伝えたのであれば、「誠実な対応をする企業」として、長期的な視点で企業ブランドにとってはプラスになります。

危機管理広報の成功は、平時からの準備と危機発生時の誠実な対応にかかっています。