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不評被害

風評被害対策とは?影響や解決策をわかりやすく解説

2023年03月30日

読了時間目安: 6分


「風評被害対策にはどのような方法があるの?」や「風評被害対策をしないとどうなる?」といった疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。
とりわけ、社会的な信用などに対する影響が大きい企業にとって、風評被害対策は非常に重要です。
適切な風評被害対策を実施するためには、風評被害の原因や影響、さらには解決策の種類についてあらかじめ把握しておくことがポイントになります。
そこで本記事では、風評被害対策について、その影響や解決策、そして実例を用いて初心者にもわかりやすく解説します。

風評被害対策とは

風評被害対策とは、風評被害の対象となる個人や企業が実施する一連の対策のことです。具体的には、風評被害を未然に防ぐ、風評被害を収拾する、さらには風評被害で受けた損害を回復することなどが含まれます。 風評被害対策が必要とされる多くのケースは企業が対象です。企業の場合、風評被害が起きることで、企業の信頼失墜、ブランド毀損、売上低下、さらには従業員やその家族に対する厳しい目など、広範囲にわたって悪影響が生じる可能性があります。 昨今、テレビや新聞といったメディア以外に、SNSをはじめとするインターネット上の「ネット風評被害」の影響が増してきていることから、企業にとって風評被害対策はリスク管理のひとつとして欠かせないものと言えます。

風評被害対策を実施する重要性

風評被害対策を実施することは、個人や企業の信頼を守ることと言えます。 個人や企業に関係なく、信頼が根幹にあることで人間関係や経済活動、そして社会全体が円滑に進むことから、風評被害対策が重要とされています。 インターネットが普及して以降、風評被害によって個人や企業が守るべき信頼が揺らぐ、あるいは崩壊することもあることから、風評被害対策の重要性がこれまで以上に高まっているのです。

風評被害の原因やメカニズム

【風評被害の原因】

風評被害が起きる原因は「不正確な情報が発信され、さらに拡散されること」にあります。このような現象が起きる場所として、テレビや新聞、さらにはSNSをはじめとするインターネットが挙げられます。 多くの人にとってインターネットが日常的になった現代においては、誰もが風評被害の原因になり得ること、または風評被害を受ける可能性があることを知っておきましょう。

【風評被害が起きるメカニズム】

東京大学総合防災情報研究センター特任准教授の関谷直也氏が風評問題に関してまとめた資料によると、風評被害のメカニズムとして以下3つの段階を辿るとしています。  
  1. 1.集合的増幅(社会で不安が拡大していく段階)
  1. 2.組織的増幅(負のスパイラル、少数意見の増幅)
  1. 3.自己成就(払拭できない神話が事実化し定着)
  上記の段階論では「集合的増幅」の段階で不正確な情報が拡散され、「組織的増幅」の段階で少数者の影響力が増して過剰反応がはじまり、そして「自己成就」の段階において人々の間で思い込み、すなわち風評被害が生まれるとしています。
参考:風評問題のメカニズムとその対策 P.21 関谷直也  

【風評被害の影響】

風評被害対策をとるうえで「風評によりどのような影響が生じるのか?」ということも知っておきましょう。 風評被害の影響は個人および企業にとって主に以下のようなことが挙げられます。  
  • ・信頼/信用失墜
  • ・ブランド毀損
  • ・取引減少による売上低下
  • ・新規顧客獲得の機会減少
  • ・関係する人や企業との関係悪化
  • ・人材流出
  • ・新規採用の難航
  • ・精神的苦痛 など
  上記については、必ずしも風評被害の影響と特定できない可能性があることから、問題を一層悪化させてしまうことも考えられます。また、これらの影響が表面化しているにもかかわらず、風評被害に気付いていないケースもあるため、風評被害対策を講じることが求められます。

風評被害対策や解決策

風評被害対策にはどのような種類があるのか、そして風評被害を解決するための解決策について解説します。 風評被害対策は「未然に防ぐ」「被害を最小限に抑える」「被害から回復する」といった3段階に分けて考えるとよいでしょう。

【風評被害を未然に防ぐための対策】

風評被害を未然に防ぐための対策としては主に以下が挙げられます。  
  • ・SNS等のソーシャルメディアポリシー策定
  • ・従業員やアルバイト、関係先への教育
  • ・モニタリング体制の整備
  • ・危機管理体制の整備
風評被害を未然に防ぐための対策として「SNS等のソーシャルメディアポリシー策定」は不可欠です。具体的には、従業員にSNS投稿時のNG事項、誤解を招く表現などを用いないようにルール化したり、SNSやウェブサイト運用のガイドラインを設定したりすることがあります。 次に「従業員やアルバイト、関係先への教育」も重要です。例えば、従業員やアルバイトを対象にした研修をはじめ、風評被害が生じた実例を周知することなどが含まれます。「モニタリング体制の整備」も徹底しましょう。具体的には、検索エンジンの検索結果や関連ワード、就職または転職サイトの口コミ、TwitterやインスタグラムなどのSNS、そしてネット掲示板を警戒するなどの対策があります。そして「危機管理体制の整備」も忘れてはいけません。風評被害が起きることを想定し、あらかじめ責任者の選定や司令系統の構築、公式アナウンスや記者会見の手配などの手順を整えておきましょう。ポイントは「インターネット上の不正確な情報に目を光らせること」そして「速やかに対応できる体制を整えておくこと」です。

【風評被害を最小限にする対策】

風評被害を最小限に抑えるための対策としては主に以下のことが挙げられます。  
  • ・初期対応の手順に沿った行動
万が一、不正確な情報が広まり、風評被害が想定されるような事態が判明した場合「初期対応の手順に沿った行動」が大切です。具体的には、誰の指示で誰が対応するのかや、報告手順、対応する関係先への連絡などが必要となります。初期対応をあらかじめルール化しておくことで、風評被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。

【風評被害を改善するための対策】

風評被害を改善または回復するための解決策は主に以下のことです。  
  • ・弁護士や専門家に相談
  • ・不正確な情報の訂正および真実の発信
  「弁護士や専門家に相談」することで風評被害の改善や、風評被害からの回復が期待できます。 具体的には、法律に触れるような批判や中傷、さらには悪質なデマ情報の場合、弁護士に法的な手続きを経て対応してもらうことで対策できる可能性があります。 「不正確な情報の訂正および真実の発信」も重要です。正確な情報を発信しないままでは、不正確な情報が拡散するいっぽうになり、不正確な情報が「事実化」してしまいます。 風評被害が表面化した場合は、弁護士や専門家に相談すると同時に、真実の情報を継続的に発信することが大切です。

風評被害やその対策の実例

風評被害対策の実例について紹介します。

【コロナが名称に含まれる企業】

メキシコのコロナビールや、株式会社コロナ(本社:新潟県)などは、新型コロナウイルス感染拡大によって風評被害を受けた企業です。 商品名や会社名にコロナという文言が含まれていることが原因で、本来であれば安全または無関係にもかかわらず、買い控えや誤解を生む事態になりました。   この風評被害に対し、新聞広告やマスコミへの反論といった対策を実施し、風評被害からの回復に努めています。

【東日本大震災による原子力発電所事故】

東日本大震災により発生した原子力発電所事故の結果、長きにわたり福島県産の食品を扱う企業は経済的な損害を受けています。 本来ならば安全である食品も風評被害により買い控えが起き、経済的な損害が生じました。この風評被害に対し日本政府や福島県は、メディアや公報を通じて食品の安全性を強調したり、現地の様子を伝える情報発信をしたりすることで風評被害からの回復を目指しています。

まとめ

風評被害対策は個人ならびに企業にとって必要不可欠なことです。風評被害そのものをなくすことは困難かもしれませんが、未然に防ぐための対策や被害を最小限に抑える対策は十分に可能でしょう。 日頃から風評被害対策に対する準備をし、万が一の風評被害に対応できるようにしておいてください。