企業が炎上するリスク~後編~|会見での不適切発言と心構えとは
2025年04月30日
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不適切発言の発生要因
会見は、通常とは異なる特殊な環境で行われます。大勢のカメラとマイクに囲まれる状況自体、非常にストレスフルで緊張感が高まります。この中で、失言を引き出そうとするメディアの不意の質問に答え続けなければなりません。記者たちは百戦錬磨で、様々なテクニックを駆使して質問をしてきます。
挑発されたとき、会見が長引いて集中力が途切れたとき、あるいは会見終了後の気が緩んだとき、不適切な発言が発生しがちです。
不適切発言の影響
会見での不適切発言による失敗事例は数多くあります。
「部下がやったので私は知らない」「我々も被害者だ」など、様々な迷言が会見で生まれました。このような不適切発言が切り取られ、テレビで繰り返し流されます。また現代社会ではYouTubeなどの動画サイトやSNSで拡散され、「デジタルタトゥー」として残り続けます。
動画ですので、会見時の所作や態度、服装までも批判材料となり、まさに「坊主憎けりゃ袈裟までにくい」状況となり炎上が続きます。企業不祥事というマイナスな状況下では、自社からの燃料投下を確実に避けるために、細部にまで配慮した準備が重要です。
企業に求められる正直さと慎重さ
「正直に話す」ことと「全てを話す」ことは別物です。まだ不確定な情報が多い中での発言はリスクを伴います。問い詰められても余計な発言を避ける姿勢が大切です。
会見は多くの場合、「すべての状況が解明されていない」段階で実施されます。不確かなことには「現在確認中であり、判明次第公表する」と正直に伝え、「一部でも不確かな要素」がある場合には発言を控えることが重要です。企業の公式な見解とされる会見での発言には、誤解を生じさせない表現が求められます。
度々同じ質問を繰り返されると、少し踏み込みこんだ回答をしたくなるのが人間の心理ですが、その手には乗らず、冷静に同じ回答を繰り返すことが求められます。
会見への日ごろの備え
不祥事会見に準備なしで出たとこ勝負で臨むことは、非常に大きなリスクを伴います。
会見の実施が決まると、具体的な質問を想定したトレーニングが必要になりますが、会見の全ての準備を限られた時間の中で進める必要があり、相当慌ただしい時間になります。そのため、特段問題が発生していない平常時にメディアトレーニングを受けておくことは、会見に臨む際の心構えの助けになります。
メディアトレーニングでは、会見という「特殊な空間」を疑似体験することで、日々の備えの重要性も再確認できます。こうした体験を通じ、万が一の場合の対応策を想定しておくことは、企業の危機管理において欠かせないものです。
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