バイトテロ

バイトテロの事例から学ぶ企業の被害

2023年03月01日

読了時間目安: 4分


※記事の内容は2023年3月1日時点の情報で執筆しています

SNSが発展した現代では、正しいことも悪いこともすぐに世間に広がっていきます。
中でもネット炎上はいつまで経ってもなくなる気配はなく、むしろ増加の一途を辿っています。
バイトテロは炎上の一つで、不適切な動画をSNSなどに投稿して拡散され炎上するケースのことを指します。
誰かに見られたい、視聴者の反応をたくさん見たいというような承認欲求は時として悪質で企業にも被害が出る炎上案件へと発展していきます。
今回はそんなバイトテロについて実例と企業の被害状況を解説します。

バイトテロとは

バイトテロとは、従業員が店内のものや商品を利用して悪ふざけをした様子を撮影してSNSに投稿して炎上する事件のことです。 発生した企業は信頼の回復に多大な労力を割く事になり、思わぬ損失を抱えるケースがあります。 最悪のケースでは事件の発生した店舗が閉店したり、運営していた企業が破産に追い込まれたりします。 アルバイトだとしても企業の看板を背負っているという自覚がなく、おおごとになるとは思っていなかったというケースがほとんどです。 再発を防ぐための方法として、徹底したコンプライアンス研修やルールの厳格化が考えられます。

バイトテロの仕組み

現代ではSNSへの動画や画像の投稿が容易で、SNSは若者が一番身近に感じているメディアという見方ができます。 こういったSNSでは、誰でも簡単に情報を拡散することができるので、投稿されたが最後、急速に世間に広まっていきます。 過去にあった事例としては、投稿者がフォロワーしか見られない限定的なネット空間で問題動画を投稿するも、周りに諌められ、数時間で削除しました。 ですが、この動画を視聴した友人が、腹いせにTwitterで動画を公開して急速に拡散され炎上するというケースがありました。 たとえ見られる人を限定したとしても、必ずどこかでほころびが生まれ、世間の耳目にさらされます。 デジタルタトゥーという言葉もあるようにインターネットに投稿されたものは決して無くなることはありません。 バイトテロを起こさないためにも、アルバイト従業員に対するSNS時代のリテラシー教育を企業が率先して行っていく必要があります。

実例からみる企業の被害

ここでは実際にあった事例を元に、企業側が受けた損失の例をあげます。 具体的に金額で出ているものは少ないですが、バイトテロによる炎上が起きると消費者心理としても買い控えや利用頻度の減少が合わせて起きるのは必然と言えるでしょう。 実際に起きた事例の損害賠償額などをアルバイト社員に共有することもバイトテロを防ぐために有効でしょう。

【コンビニ店員のバイトテロ】

2019年2月某コンビニ店でアルバイトをしていた学生アルバイトが商品であるおでんのしらたきを頬張ったあとに手に吐き出し、そのままタバコの箱を乱雑に触りまくるという動画が投稿され炎上しました。 使用していたおでんは廃棄処分をしており、販売はされていないということでしたが、不衛生極まりない行動です。 具体的な被害額は分かりませんでしたが、問題の店舗も発見されており、心理的にも買い控えが起きていたと考えられます。

【時価総額27億円の損失】

某回転寿司チェーン店では、調理場にて食材の魚を使って悪ふざけをする動画が拡散され大炎上しました。 この回転寿司チェーンは法的措置を取ると明言し、結局バイトテロに関わった3人は書類送検されています。 この炎上に合わせて同社の株は130円も下落し、時価総額にして27億円の損失が生まれました。

【約10秒で大炎上】

炎上するのに映像の長さは関係ありません。 全国展開していたカラオケ店で事件が発生しました。 厨房で唐揚げのようなものを取り出したあと、地面に擦り付けそのまま揚げようとした動画が拡散されました。 この動画は早い段階で会社側が把握しており、対応を進めていたようでしたが、再度別のSNSに投稿されると、1日で1万件以上のリツイートが行われ瞬く間に大炎上しました。カラオケ店の食品は調理工程も見えないまま各部屋に提供されるため、裏でこういうことが常習的に行われているのではという不安感を煽ったかもしれません。 絶対に店に行きたくないという意見も出るほどの炎上案件となりました。 この件で重要なのは、数カ月後に同じ内容で再炎上した点です。 企業としては問題が発覚してすぐ沈静化に向けて謝罪文発表などの対応をしており、できる限りの対応はしていました。 しかし、全く関係のない寿司チェーン店で炎上騒動が起こったタイミングで、再度動画が投稿されたこともあり再炎上してしまいました。 投稿者の承認欲求を満たすためだけに過去の炎上動画などを投稿するケースもあるため、企業としてはなるべく問題を起こさないように社内教育を徹底する必要があります。

【店舗閉店・破産に追いやられてしまったケース】

大企業であれば、炎上したとしても持ち前の経営体力で復活をすることができるかもしれません。 しかし個人営業のお店は必ずしもそうとは言い切れません。 少し前ですが、2013年にはそば屋の店員が、業務用食器洗浄機や冷蔵庫に入った様子をTwitterにて投稿しました。 このそば屋はもともと店舗数を減らして経営していたなか、事件が発生し不衛生であるといった旨の非難が殺到して営業停止に追い込まれました。 このまま営業が再開することはなく破産手続きを開始せざるを得ませんでした。 まさにバイトテロという名にふさわしいほどの事件で、個人で経営している店舗でバイトテロが発生するとどういう事になってしまうのかということを日本全国に知らしめた一件でした。 1000万円以上の損害賠償請求を当該アルバイトに行ったところ、最終的に200万円で和解と言うかたちになったそうです。

【1枚の画像で閉店に】

22013年の8月にはステーキのレストランチェーンのフランチャイズ店で事件が起こりました。 なんと1枚の画像を投稿してしまったことで1週間で店舗が閉店となったのです。 店の冷蔵庫にアルバイトが入り込む画像が投稿されると瞬く間に炎上。 翌日には店舗は休業に追い込まれました。 本部企業は当該フランチャイズ店との契約を終了し、炎上発生から1週間足らずでその店舗は閉店になりました。 本部企業には電話やメールでの抗議文が殺到したそうです。 上記のそば屋の騒動からわずか1ヶ月ほど後の出来事でした。

まとめ

バイトテロはどれだけ対策を講じても、完全に防ぎ切ることは不可能に近いです。 しかし、企業の事後対応が円滑に進んだことにより、好印象を持たれるケースも少なからず存在しています。 対岸の火事として見ているのではなく、自分の企業で起こってもおかしくないという意識を持ち、コンプライアンス研修やルールの厳格化を行いつつ事後対応の準備を進めておきましょう。