【企業広報向け】謝罪対応のポイント|信頼回復につながる言葉と姿勢とは
2025年10月16日
この記事では、謝罪対応において押さえるべき3つのポイントを、広報・危機管理の視点から解説します。
謝罪対応の基本原則|「謝るだけ」では信頼は回復しない
近年のSNSの普及により、企業の不祥事やトラブルは瞬く間に拡散されるようになりました。
情報がリアルタイムで広がる時代だからこそ、企業の「初動対応」や「謝罪のあり方」は社会から厳しく注目されています。
しかし、炎上や不祥事が発生した際、企業が謝罪一辺倒の対応に陥るケースは少なくありません。「とにかく謝る」姿勢は、かえって信頼を損なうリスクがあります。
SNSや報道では、過去の事案が掘り起こされたり、虚実が混在した情報が拡散されたりすることもあります。特に炎上時の広報対応では、出所不明の情報に対して曖昧な回答をすると、「肯定」と受け取られる可能性があるため、企業は事実に基づいた明確な否定を行うことが必要です。
企業の謝罪対応の本質は、ブランド価値の回復と企業の持続性を守ることにあります。誠実さと毅然とした姿勢を両立させることが、企業の信頼を守るためへの第一歩です。
謝罪文・会見での言葉選び|誠実さを伝える表現とは
謝罪文のリリースや記者会見時に企業が使う言葉は、世間の印象を大きく左右します。特に避けるべきなのが、「当社も被害者である」といった表現です。もしも、サイバー攻撃や顧客による迷惑行為などの企業側に過失がないケースであっても、謝罪の場では「顧客に迷惑をかけたこと」に焦点を当てるべきです。
例えば、サイバー攻撃によってシステムが停止した場合には「システムをご利用いただいているお客様に、多大なご不便とご迷惑をおかけしました」と表現するのが望ましいでしょう。
企業が被害者でも謝るべきか、という気持ちは理解できますが、世間からは「企業は強固なシステムや体制を整えているべき」という前提で見ているため、被害者意識を前面に出すと、責任逃れと受け取られかねません。
このような誠実な対応を通じて「この企業なら信頼できる」と思ってもらえるような企業の姿勢が、ブランド価値の回復につながります。
企業の姿勢と信頼回復|守るべき価値と捨てるべきプライド
企業の危機管理対応として最優先で守るべきは「企業の存続」です。SNS炎上や不祥事が発生した際、少なからず企業ブランドイメージが下がってしまい、従業員を含めステークホルダーへ動揺が広がってしまうでしょう。
そのような状況で、謝罪文の書き方や記者会見時の言葉1つに「小さなプライド」が垣間見えてしまうと、より大きな批判を招き、炎上が加速することがあります。
もし、会見時での横柄な態度や「当社も被害者であり…」といった表現があった場合は、第三者から見て誠実さを欠く印象を与えかねません。
危機対応の広報活動は、失いつつある価値を「これ以上失わない」ための行動です。企業はプライドを捨て、信頼回復と企業の永続性を守るために誠実な姿勢を示すことが求められます。
まとめ
炎上や不祥事が発生した際、企業の謝罪対応は「単なるお詫び」ではなく、信頼回復とブランド価値の再構築を目指すための広報戦略活動の一環です。謝罪の範囲や、言葉の選び方、企業の真剣な対応は、のちの顧客やSNS上のユーザーからの評価に直結します。
誠実さと毅然さを両立させる謝罪対応こそが、その後の企業の持続性を支える鍵となります。
今回ご紹介した3つのポイントを踏まえ、謝罪の本質を「信頼を築くための広報対応」として捉えることが重要です。
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この記事は、SNSリスクモニタリングサービスなどリスク対策サービスを25年以上支援しているリリーフサインで数多くの企業広報・危機管理対応の経験を持つ企業広報コンサルタントが執筆しています。
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